日本相撲協会の高野利雄危機管理委員長(元名古屋高検検事長)は28日の会見で、27日発売の週刊文春と週刊新潮に掲載された「貴乃花親方の激白」記事について、わざわざ貴乃花親方(元横綱)に確認し、親方の言葉で報道を否定した。一方で両週刊誌編集部は「記事に掲載した通り」として双方が食い違う。貴ノ岩への暴行事件に際して、事件の“番外”でも、相撲協会と貴乃花親方の間にはちぐはぐさが目立った。

 互いの間にある温度差が、目に見えずとも、肌で感じられる1コマだった。今もかたくなに沈黙を貫く貴乃花親方の「激白」が掲載されたのは、ともに27日に発売された2つの週刊誌。

 週刊文春に語った言葉は長く「相撲協会は私の責任を問うかたちにもっていきたいのでしょうけども、それはかまいません」「一貫して捜査が最優先と伝えてきましたし、貴ノ岩が鳥取地検の聴取を終えた時点で、約束通り、すぐに協会の危機管理委員会の聴取にも協力させました」「私が事を荒立てたかのように言われますが、ウヤムヤにすることこそ、大ごとです(中略)私はこのままで終わるつもりはありません」(原文まま)などと記された。

 週刊新潮でも「未来に夢や希望を乗せてこれから力士を志す者たちへ学べる角界であるべきと考えています」(同)などと心情を語り、支援者に語ったという親方の証言も掲載された。2つの記事いずれも自らの正当性と、協会執行部への不信感がつづられていた。

 危機管理委員会も以前から、協会の聴取には協力しないのに貴乃花親方の「考え」が表に出ることに不信感を抱いていた。25日の同親方への聴取の際には「本人が話さず、周囲に話させるのはいかがなものか」と問いただした。そこで親方は「一切、そういう人に話したことはないし、話すよう指示したこともない。週刊誌の取材を受けたこともない」と否定したという。

 だが、直後に発売された週刊誌では、周囲どころか自らの発言までが報じられた。再び確認を強いられた危機管理委員会。高野委員長は「委員会(の聴取)での話と違うと思い、改めて確認しましたが『取材に応じたことはない』という風におっしゃっておられました」と説明し、貴乃花親方の言葉を用いて記事を懸命に否定する事態となった。

 こうした会見を受けた週刊文春編集部は「記事に掲載したとおりです」とコメントを発表。週刊新潮編集部も「記事に書いた通りです。それ以上でもそれ以下でもありません」とした。

 相撲協会と同親方がかみ合っていないことは、事件の“番外”でも露呈されてしまった。

12/29(金) 8:33配信 日刊スポーツ
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