鳥取市内のラウンジで10月下旬、平幕貴ノ岩(27)に暴行したとして、鳥取県警は11日、傷害容疑で元横綱日馬富士(33)=本名、ダワーニャム・ビャンバドルジ=を書類送検した。
起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとみられる。事件の根源には貴乃花親方(45)と、横綱白鵬(32)らモンゴル出身力士との“相撲道”の違いがある。
暴行の発端を作るなど、“共犯”と呼ばれてもおかしくない立場の白鵬の言動には、後援会関係者も苦言を呈する。

日馬富士は秋巡業中の10月25日夜から26日未明にかけて、ラウンジの個室で貴ノ岩を素手やカラオケのリモコンで殴り、頭部に10日程度のけがを負わせた疑いが持たれている。

暴行のきっかけとなったのが白鵬が貴ノ岩の態度について説教したことだった。日馬富士はちゃんこ店での1次会では貴ノ岩をかばったが、
2次会のラウンジで白鵬が再び説教をした際、スマートフォンを操作する貴ノ岩に激高、殴打した。同席者らはすぐに止めず、リモコンで殴ったところで白鵬が日馬富士を個室から連れ出したという。

貴ノ岩はモンゴル出身だが貴乃花親方の下でモンゴル出身力士とは一線を引いているとされる。また、今年の初場所では貴ノ岩が白鵬から金星を奪っていた。

九州場所で優勝を飾った白鵬だが、最近の土俵内外での言動に眉をひそめる向きも少なくない。

「私は双葉山の時代から相撲を見ているけれど、あれは横綱ではない」と語気を強めるのは、神奈川県で、白鵬が所属する宮城野部屋の後援会(現在は解散)会長を務めた横須賀エフエム放送会長の服部眞司氏(84)だ。

「最近では立ち会いで張り手や、(ひじを使った)かち上げがみられるが、3〜4年前から体が衰えているように見える。だからそんな手段を使うのではないか。これは横綱相撲ではない。大鵬も双葉山もこんなことはしなかった」と憤る。

白鵬は九州場所11日目に嘉風(35)に敗れた際、審判に抗議し1分以上も土俵に戻らなかった。約80年にわたり相撲を見ているという服部氏は「あんなものはこれまで一度も目にしたことがない」と驚いたという。

現役の後援会会長も白鵬の言動に眉をひそめる。関西宮城野部屋後援会の北田義和会長(71)は、白鵬が千秋楽の優勝インタビューで「日馬富士と貴ノ岩をもう一度土俵に上げたい」と発言した点について
「話したことそのものが悪いとはいわないが、あの場で言わなくてもいいことだなと思った」との思いを口にした。

日本相撲協会の八角理事長(54)が先月28日に行った講話の席で白鵬は「貴乃花親方が巡業部長なら、巡業に出たくない」という旨の発言をした。北田氏は「個人的な考えをそういった場で口にするのはよくない」と注文をつけた。
 
前出の服部氏は、約30年ほど前に当時の宮城野親方(元小結廣川)が神奈川県横須賀市出身だった縁で宮城野部屋の後援会を始め、白鵬を入門前の15歳のころから知る。
「入りたてのころは日本語がまったく話せないなか、ちゃんこを作り、土俵の整備をしていた。部屋は毎年夏に横須賀で合宿をしており、一生懸命がんばっている様子を見てきた」と振り返る。
日本語に慣れてきた頃には、共に老人ホームを慰問、入所者を励ましたという。

2006年に大関に昇進した際には「伝達式の使者を大阪まで呼びに行き、口上も考えてあげた」という服部氏。「まだこの頃は今のように問題を起こすことはなかった」

その後、横綱となって優勝記録を更新する半面、問題になる言動を重ねた白鵬だが、周囲も増長させる原因になっているのではと服部氏はみる。
その1人が八角理事長で「白鵬が望んだとおりに、貴乃花親方を冬巡業に同行させなかった。横綱に全くモノが言えていない」と指摘した。

元日本相撲協会外部委員で漫画家のやくみつる氏(58)は、日馬富士と白鵬の間で、優勝をめぐって「白星の収斂(しゅうれん)」があった可能性を指摘したが、
服部氏もまたモンゴル勢のなかで「同じ国の出身であれば、ときには勝たせてあげるようなこともあるんじゃないか」との見方を示した。

白鵬がこうした恩人の厳しい言葉を正面から受け止める日はくるのだろうか。

2017年12月12日 17時5分 ZAKZAK(夕刊フジ
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