2017年11月20日 紙面から

◇アジアプロ野球チャンピオンシップ 日本7−0韓国

 新設された野球の国際大会「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」は19日、東京ドームで決勝が行われ、稲葉篤紀新監督(45)率いる日本が韓国を7−0で下し、初代王者となった。18日の台湾戦に続き先制打を放った西武・外崎修汰選手(24)がMVPに選ばれた。優勝の日本は2000万円、準優勝の韓国は500万円の賞金を得た。

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 2020年への第一歩を最高の形で締めくくった。4度胴上げされた稲葉監督は「恥ずかしいからいいと言ったんですけど、うれしかった。重いと言われたので少しダイエットしないと」と照れくさそうに笑った。

 2年前のちょうどこの日、プレミア12の準決勝で韓国に逆転負けを食らった。場所も同じ東京ドーム。当時は打撃コーチだった稲葉監督は「今でも覚えています。だから何点あってもいい。最後まで何が起きるか分からないというところで戦った」。4回に外崎の右中間への適時打で先制すると勢いに乗った。7回に西川の一発で7点差としたが、最後は守護神・山崎康を投入。攻めの姿勢を貫いた。

 勝利至上主義を掲げて挑んだ初采配。日本のお家芸と言えば足と小技の「スモールベースボール」。ただ、これだけでは世界を制することはできないと指揮官はみている。「パワーも必要になってくる」。この2つをどう融合させていくか−。その船出でもあった。

 チーム結成から10日余り。稲葉イズムは浸透していった。初戦の韓国戦では延長10回に追いついた直後。西川が右前打で出塁し、次の田村の打席でカウント1−1から盗塁を決めた。さらに2戦目の台湾戦では追加点がほしい5回に二塁走者・外崎が三盗。いずれもベンチの指示は「行けたら行け」。選手それぞれが勝負どころを見極め、果敢に攻めた。

 「常にこちらの走ってほしいタイミングと、選手の走るのが合っている感じはしました」。長打を期待された山川、上林にも貴重な場面で一発が生まれた。「結束」をテーマに積みかさねた時間は限られた中でも以心伝心となり、ここぞというところで発揮された。

 試合後のミーティングではまずは選手に「ありがとう」と告げた。そして「東京五輪に日の丸を背負ってやろうと思えるように成長してください」と続けた。まだ始まったばかり。稲葉ジャパンはひた向きに、真っすぐ突き進む。 (土屋善文)

http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/npb/news/CK2017112002000125.html