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日本映画や名画座も…

影響は外国映画だけにとどまらない。日本映画の場合、使用料は1曲あたり、映画録音使用料×5%×同時上映最大スクリーンと
いう形で算定しており、製作者が録音使用料とあわせて支払うケースが多い。

江見浩一複製部長は「日本の映画については、最終的には興行収入にリンクする形での規定が望ましい」と指摘。
将来的には、日本映画についても規定を改めたい考えを示した。
これまで名画座などでのリバイバル上映に際して、JASRACが追加で使用料を徴収することはなかった。しかし、今後は事情が一変しそうだ。

「そういう点の改善を団体さんに申し入れている」「リバイバルで数年後にかかります、というところで新たに使用料を
 お支払いいただくことになれば、その分は新たな使用料の発生ということになる」(江見複製部長)

日本映画製作者連盟のデータによれば、2016年の国内の映画興行収入は2355億円。内訳は邦画が1486億円、洋画が869億円を占める。
単純計算ではあるが、興収全体の1%なら23.5億円、2%なら47.1億円。外国映画に限っても、1%で8.6億円、2%で17.3億円もの金額になる。


「聖域に手を突っ込んできた」

映画業界の受け止めは深刻だ。東北地方のある映画館の支配人は「影響は甚大。もしJASRACの言い分の通り1〜2%となれば、
つぶれる映画館が出てきてもおかしくない。死活問題だ」と危機感をあらわにする。

JASRACは6月に音楽教室からの著作権料の徴収を発表したばかり。教室側は反発し、訴訟に発展している。
「CDやDVDの売り上げが落ちて焦っているのだろうか。ついに“聖域”に手を突っ込んできた印象だ。大手のシネコンも
黙ってはいないのではないか」(前出の支配人)

JASRACとしても、いきなり1〜2%に切り替えるのではなく、段階的に引き上げていくことを検討しているという。

江見複製部長は「単館の映画館が厳しいということは、我々もよく承知をしております。『著作権料の負担で閉めなきゃ
いけなくなりました』ということは、我々も権利者もまったく望んでいないことです」と話している。