■カップファイナルにおける完璧な試合運びだった


なにより特筆すべきなのは、セレッソの大阪が13戦負けなしで頂点に立ったという事実だろう。まさにフルマラソン。いや、駅伝に近いか。スカッドをフルに活かした、見事な戴冠劇だった。
 
 世界的に見ても、この日本のルヴァンカップは特異だ。出場資格があるのはJ1の18クラブで、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に出場する4チームは準々決勝からの登場となる。シードされていない14チームがまず、4つの枠を争う過酷な戦い。セレッソはグループステージ(B組)を4勝2分けで乗り切ったが、それでもプレーオフに回らざるを得ず、北海道コンサドーレ札幌をなんとか振り切ってベスト8にたどり着いた。イングランドのFAカップなら、プレミアリーグのどのチームでも6試合に勝てば優勝できる。これだけの長丁場のカップ戦は、世界のどこにも見当たらない。
 
 セレッソはそのグループステージで、4−4のドローゲームを除く5試合で無失点。負けないことでチームはテンションを高く保つことができたのだろうし、チームの潜在的な力を証明した大会だったと言える。集中力、一貫性、そして選手層の厚さ。キーワードはこの3つだ。
 
 とくに川崎フロンターレとの決勝戦では、集中力が決め手になった。開始早々の先制点はセレソにとってもゲームプランにない唐突なプレゼントだっただろう。肝になったのはそこからの高度な守備の連動性だった。慌てることなくフロンターレの攻撃をブロックし、後半になるとその強度はさらに上がり、どんどん堅固なものになっていった。終盤の2点目は、こうした粘り強い守備で耐え凌ぐチームによく起こるシーン。ご褒美のようなものだ。ファイナルを戦う上で、完璧な試合運びだったように思う。
 
 両チームともこれまで無冠ということで、話題を集めていた決勝戦。それにしても、フロンターレはツイていない。今世紀に入ってから間違いなくJリーグを代表するクラブのひとつなのに、なぜタイトルとは無縁なのだろうか。不思議でならない。多くのサポーターはきっと、こう呟いているだろう。「いったいなぜこうも毎回?」と。

つづく

11/5(日) 7:48配信 サッカーダイジェスト
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