10月26日のプロ野球ドラフト会議で、注目の早実・清宮幸太郎の入団交渉権を日本ハムが獲得した。
高校の大先輩・王貞治のホームラン記録868本を目標にし、憧れの大リーグ入りを夢見る高校生一塁手を球界もメディアも「即戦力」と大歓迎しているが、本当にそうなのか。

クジで引き当てたとはいえ、そもそも日ハムがなぜ7球団競合の清宮をドラフト1位で指名したのか。
日ハムといえば、たしかドラフト前、清宮側がセットした異例の親子面談を拒否したはずではなかったか。

商売上手の日ハムは、高校卒業後即メジャー行きをめざしていた大谷翔平を「いつでもポスティングシステムで渡米させる」という“密約”で獲得した実績がある。

今回獲得した一番人気の清宮も、近い将来「本人の希望」を理由にメジャーに移籍させ、20億円あまりの譲渡金を手にする腹なのだろう。

もっとも、清宮がダルビッシュ有(ドジャース)や大谷のように、日本で抜群の実績を残してメジャーのオファーが殺到するかは未知数だが、
ポスティング移籍ができなくても清宮人気で観客動員やグッズなどの広告収入で日本ハムが投資の元を取り戻せることは間違いない。

ポスティング密約は日本プロ野球への背信行為だ

私は以前から、日本球界の財産が早々に流出する特例ルールのポスティングに反対している。
日ハムが今回も清宮との入団交渉で「いつでも渡米OK」の密約を交わすとしたら、日本プロ野球への重大な背信行為だ。

そもそも、清宮はそれほどの選手なのか。
報道を見ると、清宮が目標とする早実の大先輩・王も「プロ野球全体の期待の星。
あとはどこまで上がれるかチャレンジしてほしい」とエールを送り、メディアは「即戦力」のオンパレードだ。

しかし、私はそうは思わない。

日本ハムの栗山英樹監督は、「感動した。日本の、世界のホームランバッターにするんだという思いはもちろんある。
本人が思っている以上に才能にはほれ込んでいる」と大はしゃぎだが、
私が監督なら「この選手はどこで使ったらいいのか」と頭を抱えるだろう。

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幻冬舎plus2017年11月04日 06:00