<以下、木村拓哉のコメント全文>

 最初にこのドラマのお話を聞いたとき、「ボディーガード」という職業をテーマに選んでくれたことに感謝したいと思いました。
そこを描こうというジャッジをしたプロデューサー、脚本の井上由美子さんにびっくりしたというか「なるほど、そうきたか!」という意外性がありました。

 僕自身も仕事柄、ボディーガードの方々のお世話になることがあるのですが、彼らがいてくださるというだけで安心感が凄いです。
でも実際には何事も起きたりはせずに、その日の任務を終えて「では、これで失礼します」と言って帰っていかれるんです。
もちろんボディーガードという職務にとっては、何も起きないことが100点満点ではあると思うのですが、
このリアリティーをドラマでどのように描いていくのか……非常に難しいところだと思うので、意外性を感じましたね。
ドラマですので、毎回何も起きずに終わるわけはなく、そこはしっかりとスリリングに描いていきたいですよね(笑)。

 「ボディーガード」という方々がどんな業務をされているのか。みなさんが抱いているイメージもあると思いますが、それを一掃する
ような作品になるのではないかと思っています。スタッフ、共演者の方々とこれからどういうアプローチをしていけるのか、楽しみです。

 僕が演じる島崎章という男は、過去のある出来事がきっかけで現在はボディーガードの世界からは退いているわけですが、
その当時にはボディーガードという仕事に使命感・プライドを持って職務に就いていたのだと思います。
過去に起きた出来事、それが章の心にどのような変化をもたらしたのか、しっかりと自分の中に落とし込んでいきたい。

 脚本の井上由美子さんとは「エンジン」以来、13年ぶりにご一緒しますが、13年という年月を感じないくらい身近な存在。
井上さんほど、本を作っていく過程で柔軟な方はいないんじゃないかと思うくらい、いつも出来上がってきた本に驚かされます。
また、女性目線で描く男性の心理・世界もとても興味深いので、今回も井上さんが作ってくださる世界の中で、存分に章という男を
担っていきたいと思います。

 ボディーガードは、普通に暮らしている人たちには遠い存在、無関係な世界と思いがちかもしれませんが、決して特別な存在なわけ
ではないということを、この作品、そして島崎章という男を通してみなさんに伝えられたら嬉しいです。