――どのような声がけがいい声がけなんですか?
 
「積極的なアクションを生む声かけが、いい声かけですよね。日本の指導のやり方だと、普段からできないところを『直してあげよう』という意識が強くて、できたことを褒めませんよね。スペイン人はまったく逆で、とにかく褒める。まったく怒らないかというとそんなことはないのですが、割合で言うと褒めるのが8割、指摘するのは2割くらいで、褒めるほうが圧倒的に多いです。
 
スペインの指導者を見ていて思うのが、選手を乗せるのが本当にうまいということです。選手がミスを恐れて萎縮したり、途中で諦めたりしないように環境を整えてあげる、それをポジティブな声がけで実現するというのもチームマネージメントのうちですからね」
 
―――練習環境の問題、トレーニングの中身の問題。日本的な練習のイメージはサッカーのプレーにも悪影響がありそうです。これを変えていくにはどうしたら良いでしょう?
 
「私は日本の現場にずっと触れているわけではありませんし、シーズンオフの夏に帰ってくるだけなので、断言はできませんが、変えられないのではなく変えないだけなんじゃないかと思います。現場の指導者、ましてや選手たちがおかしいと思っていても、諦めているような状態があるとすれば、それが一番良くない状況ですよね。
 
トレーニングを短くしても密度の濃い練習、アクションの強度と頻度を高める工夫をすれば効果が上がることはすでに世界の常識ですし、真夏の試合や練習を朝や夕方に限定することもできないことではないはずです」

<了>

大塚一樹

写真
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