【緊急連載・巨人に明日はあるか(1)】由伸巨人の2017年は、屈辱の11年ぶりBクラス転落という結果で幕を閉じた。
オフに空前の大補強を敢行したものの、前半戦には球団ワーストとなる13連敗を記録。リーグ連覇した広島にも大きく負け越し、独走を許した。
最終的にはCS進出を争うまで巻き返したが、一歩及ばず72勝68敗3分けの4位で終了。
計算はどこで狂ってしまったのか。緊急連載「巨人に明日はあるか」で誤算にまみれた苦闘の軌跡を振り返りつつ、名門再建への道を探る。

なぜ3人も獲得したのか。彼らは必要だったのか…。
今季を通し、G党の議論の中心はそこだったのではないだろうか。
球界史上初の「トリプルFA補強」。総額30億円にも上る大補強の始まりは東京ドームに鳴り響いた怒声が発火点だった。

4位に低迷していた昨年の7月。
阪神戦を観戦に訪れていた親会社の読売トップの渡辺主筆が「やっぱりこれはね、由伸の責任じゃねえからな。フロントだよ。補強してねえじゃん。
こんな補強せずに、今の陣容で勝てったって無理だよ」と球団の補強姿勢を一喝した。

その後の動きが果たして渡辺主筆の期待に沿ったものだったのかは分からない。
ただ、ここから“大補強ありき”の方針は定まった。
ポイントは「強打の中堅手」「2桁勝利を期待できる先発投手」「ポスト山口鉄候補のリリーフ左腕」。最初に目を付けたのは、
当時FA権を手にしていたオリックス・糸井(現阪神)と西武・岸(現楽天)だった。
なかでも読売首脳は糸井の獲得を強く望んだ。

球団は4年総額24億円にも上る巨大資金を用意して獲得調査に乗り出したが、糸井本人の強い在阪志向も判明し、結局は断念。
これに焦った巨人は、同じくFA権を保有していた大島(中日)に路線変更した。
だが巨人が調査を開始した途端、中日が条件を引き上げて残留が決まってしまった。

ここで球団サイドは野手のFA補強をいったん断念する。「陽岱鋼は肩が壊れている。下半身も不安で、ピークアウトした選手」との評価だったからだ。
しかし、親会社がそれを許さない。オリックスがリードしていた陽岱鋼争奪戦への参戦を命令。
“糸井資金”を注ぎ込み、5年20億円以上の破格条件でライバルを下し、獲得にこぎつけた。

キャンプ中の故障で出遅れた陽岱鋼は、13連敗中の6月になって一軍合流。後半戦からは1番に定着した
。ただ、打率2割6分4厘、9本塁打、33打点の成績が、推定4億円の高年俸に見合う数字だったかどうか。

岸については地元・楽天の動きが素早かった。球団は次善の策として、DeNAと残留交渉でもめていた山口俊の獲得に切り替える。
後に中日が参戦すると、右腕を巡るマネーゲームは過熱。結果的に争奪戦には勝利したが、3年約10億円もの巨大契約に膨らんだ。

だが危惧されていた右肩の違和感は結局春までに癒えず、キャンプは三軍スタート。
一軍合流は13連敗明けの6月14日。山口俊がその後に起こした泥酔暴行騒動については次回以降に記すが、2年4億円以上を投じた森福が不振に終わったのと同様に、球団の「調査不足」は明らかだった。

親会社の命令は絶対。確かに球団は忠実に指令を実行に移し、救援左腕の森福を含め史上初のFA3人獲りという結果で「大補強」を敢行した。
しかしコストに反比例して、結果は伴わない。そして再び“怒声”が響き渡り、ドラマは繰り返された――。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171005-00000004-tospoweb-base
10/5(木) 11:03配信

http://npb.jp/bis/players/61665114.html
森福 成績

http://npb.jp/bis/players/21825112.html
陽 成績

http://npb.jp/bis/players/51855112.html
山口俊 成績