ハリルジャパンで熾烈(しれつ)な生き残り闘争が始まろうとしている。サッカー日本代表は10月6日に豊田スタジアムでニュージーランド代表、10日に横浜国際競技場でハイチ代表とそれぞれ対戦する。インターナショナルマッチウィークを利用した2017キリンチャレンジカップの国際親善試合には海外組のメンバーも招集されているが、ここまで常連だった本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター)、長谷部誠(フランクフルト)が外れた。

 ただし長谷部に関しては3月に手術した右ひざの状態を考慮され、召集を見送った形。そういう観点から見ても岡崎の落選は、かなりのサプライズだった。今季イングランドのプレミアリーグで3得点をあげ、リーグカップにおいても強豪リバプールを相手にゴールを決め現地マスコミに大絶賛されるなど明らかに好調モードであるからだ。

 その意図についてバヒド・ハリルホジッチ監督は岡崎に代わって杉本健勇(C大阪)と武藤嘉紀(マインツ)の若き2人のFWにチャンスを与える考えがあったことを明かしている。指揮官が2018年6月14日開幕のロシアW杯へ向けて残り8カ月に迫る中、若手の積極的起用によってチームの世代交代を相当な覚悟を持ちながら推し進めようとしているのは間違いない。

 さて、最後の本田である。今回召集されなかった海外常連組の中で本田の落選だけはメンバー発表前から十分に予想されていた規定路線だった。このコラムでも9月5日の敵地、サウジアラビア戦で低パフォーマンスに終わった本田について「代表から一度外すべき」と辛口の提言を行ったが、まさにその通りの形となった

 9月28日のメンバー発表会見でもハリルホジッチ監督は本田について「現時点の状態では代表でプレーできない」と厳しいトーン。今季から新たにメキシコ1部リーグ、リーガMXの強豪へ主戦場を移したばかりの本田だが、以前のように指揮官から強い関心を示されていないのも事実である。実際、27日のクルス・アスル戦で今季2得点目を決めた本田のプレーについて問われたハリルホジッチ監督は「見ていない」とも言い切っていた。

●本田時代の終わりが近づいているのか

 確かに今の本田はベストな状態と言い切れない。右ふくらはぎの肉離れを引き起こしたことにより、今夏の開幕からは大きく出遅れのスタートを強いられている。しかもこれまでACミランの一員としてプレーしてきたイタリア セリエAなどの欧州リーグと比べれば、このメキシコリーグはどうしても格下に見られがちだ。グレードが下がった新天地でもいまだ強烈なインパクトを残せずにいる本田からハリルホジッチ監督の心は徐々に離れていっている感も見受けられる。

 加えて本田はACミラン時代も移籍までの近年はベンチウォーマーに甘んじていただけに試合勘が鈍っている点が懸念されている。ここまでパチューカでは6試合に出場し、2得点を決めているものの先発は1試合のみ。最近3試合を見ても12分、8分、25分と途中出場での短時間しかピッチに立てていない。

 そうした直近のデータぐらいは、さすがに頭の中に入っているからなのだろうか。ハリルホジッチ監督は本田のロシアW杯でのメンバー入りに関して「クラブで高いパフォーマンスを見せることが条件。それができなければW杯に行くことはできない」ときつい注文をつけた。 

 ちなみに本田が国内組で臨んだ大会を除いて代表選考から外されたのは、2013年の3月以来のこと。実に4年半ぶりだ。その本田が長きに渡って代表で背負っていた「4番」は植田直通(鹿島アントラーズ)が着けることになった。「本田時代の終わりが近づいている」と揶揄(やゆ)する声も少なくない。

 時代は着実に動いている。ハリルホジッチ監督から現時点で代表構想外とされている本田はこのままW杯本大会もメンバーに入れないままで幕引きとなってしまうのだろうか。前回は本田に対して厳しい言葉を向けたが、それは「逆境から危機感を強めることで再び這(は)い上がってほしい」という願望があるからこそ。頭のいい本田のことだ。きっと逆転プランを考え、復活へのシナリオを描いているはずである。

つづく

0/6(金) 8:03配信 ITメディアビジネス
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