NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)でプレーしていた元選手たちのうち、脳に外傷性の損傷を負っているプレイヤーの割合が驚異的な数字に上ったという研究が、2017年7月末にThe JAMA Networkに掲載されました。そして、米Lifehackerによると、同様の危険性はサッカー選手にも潜んでいる可能性があります。

そしてこの度、野球の「ヘッドスライディング」が危険であることが新たな研究によって明らかになりました。ただし、危険が及ぶのは多くの場合、選手の脳ではなく「手の細い骨や腱」である、とThe New York Timesは伝えています。

アメリカ整形外科スポーツ医学会が発行する学術誌『The American Journal of Sports Medicine』に掲載されたこの研究は、資金の一部をメジャーリーグから提供を受け、2011年から2015年の間のメジャーリーグならびにマイナーリーグで選手が行ったスライディングをすべて記録。特にケガと、その後の欠場日数を確認しました。その結果、頭からスライディングする選手は、足からスライディングする選手と比べて、ケガをする確率がおよそ2倍だったとのことです。

ヘッドスライディングによるケガは、アメフト選手の脳の損傷に比べると重いものではなく、命にかかわるものでもありません。しかし、それでも深刻な問題です。スライディングによるケガで欠場した日数は、1シーズンあたりで合計4,263日に達しています。また、ケガのうちの8%は手術が必要なものでした。

アスリートやコーチが以前から危惧していたことが、またしても科学によって裏付けられたようです。この場合、野手のタッチを避けるという点から考えれば、場合によってはヘッドスライディングの方が確実なプレーなのかもしれませんが、選手の体にとっては危険が大きくなります。

信頼できる確かなデータがなければ、変化を促すことはなかなかできません。今回の研究には大学や高校でプレーする選手は含まれていませんが、示唆するところは明白でしょう。選手もコーチも、故障者として試合に出られなくなる可能性を念頭に、プレーを考える必要があるのかもしれません。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170911-00010004-biz_lifeh-sci