8月31日の豪州戦後、選手らに水をかけられるハリルホジッチ監督(中央)【拡大】

 【No Ball,No Life】薄氷の予選突破だった。W杯ロシア大会アジア最終予選で、日本代表は初戦の黒星から巻き返し、6大会連続の本大会出場を決めた。B組1位で本戦ストレートイン圏内を確保したが、プレーオフに回った3位の豪州との勝ち点差はわずか1。最終戦を残して予選突破を決めたが、改めて勝敗表を見ると、ギリギリの戦いの末つかんだ切符だったことがよくわかる。

 (1)日本 6勝2分け2敗(20)+10

 (2)サウジアラビア 6勝1分け3敗(19)+7

 (3)豪州 5勝4分け1敗(19)+5

 (4)アラブ首長国連邦(UAE) 4勝1分け5敗(13)−3

 (5)イラク 3勝2分け5敗(11)−1

 (6)タイ 0勝2分け8敗(2)−18

 1敗しかしていない豪州がプレーオフ送りになっている事実が、混戦ぶりを物語っている。その一方、サウジアラビアのように3敗してもうまくやれば突破できるのもアジア予選。一筋縄ではいかない。上位チーム相手に勝利をおさめても、下位チームへの取りこぼしが致命傷となることもある。

 実際、主将のMF長谷部は、昨年11月のサウジアラビアとのホーム戦で勝利後、「初戦の負けを取り戻せたとは思っていない」と話していた。3月の2連戦に連勝してようやく、「イーブンにできたぐらいかな」と初戦(対UAE)での黒星がずっと引っかかっている様子だった。

 日本、サウジアラビア、豪州の“3強”の明暗を分けた大きなポイントは、下位への取りこぼしだった。豪州は11月15日のアウェー戦でタイと2−2で引き分け。上位3チームで唯一、最下位のタイから勝ち点3を逃した。

 上位3チームの直接対決(4試合)では、日本は2勝1分け1敗。豪州が1勝2分け1敗でサウジは1勝1分け2敗。上位との直接対決で負け越しているサウジは、下位3チームとの対戦では5勝1敗と取りこぼしを最小限に抑え、豪州(同4勝2分け)を上回った。

 上位相手に勝ち越した日本がここまで苦しんだのも、初戦のUAE戦(ホーム)の黒星と、中立地開催のイラク戦での引き分けが足を引っ張ったからだ。日本の最終成績は6勝2分け2敗。豪州、サウジ相手に1勝もできなくても、下位3チームに全勝すれば同じ数字になる。星の付き方が違えば、最終予選は“楽勝”だった。それぐらい初戦の黒星のダメージは大きかった。

 微妙なジャッジを致命傷とせず、巻き返しての予選突破。10戦トータルでみるとハリルジャパンは強かったといい切れそうだ。(清水公和)

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170907/jpn17090712000011-n1.html