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世界的な音楽家でありインターネットにも草創期から関わってきたことで知られる坂本龍一さんが、29日、東京で開かれた受賞イベントで「これまで出てきたことのない新しい音楽が自分から出てくると思って挑戦し続けることが、自分にとっての生きる意味です」と語りました。

この賞は、世界を舞台に挑戦を続ける科学者や芸術家、スポーツ選手などに贈られる「デジタルガレージ□ファーストペンギンアワード」で、坂本龍一さんが第2回の受賞者に選ばれました。

坂本さんはYMOの時代からこれまで、音楽家として世界的に活躍する一方で草創期からインターネットにも関わり、まだ回線スピードがそれほど速くない20年ほど前に音楽のインターネット配信や演奏のライブ配信を手がけるなど、先駆的な活動を続けてきました。

ステージで坂本さんは、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ所長の伊藤穣一さんとこれまでの活動などを振り返りながら「『独創的』と言われますが、好きなことをやってきてこうなりました。物心ついたときから、権威を疑うことが自然と身についていて、今も変わらない精神で活動を行っています」と語りました。

「これまでの人生でリスクを冒した経験」について質問された坂本さんは、3年前にがんと診断されたあと、映画「レヴェナント」の音楽を手がけたことを挙げて、「ゆっくり回復してから仕事に戻ろうと思っていたら世界的な映画監督から誘いを受け、死ぬ覚悟でやったことは自分にとって大きな挑戦でした。これまで出てきたことのない新しい音楽が自分から出てくると思って挑戦し続けることが、自分にとっての生きる意味です」と語りました。

イベントの最後に「若い世代に伝えたいこと」について坂本さんは、東日本大震災の被災地で若い世代に音楽の指導をしてきた経験などを踏まえて「大人の言うことを信じないで自分で考えて、自分が何が好きか、自分が何がやりたいかがいちばん大切だということをわかってほしい。親にはいやがられるかもしれませんが、それが今伝えたいことです」とエールを送っていました。

8月29日 20時16分

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