サッカーJ3のFC琉球が19日に沖縄県沖縄市で開く「全島サッカー1万人祭り2017」で予定していた陸上自衛隊車両の展示について、同球団は中止することを決めた。

 15日に公式ホームページで発表した。陸自の装備が同県内の駐屯地外で一般公開されるのは初めてだったが、それこそ異例といえる「撤回」の決定についてFC琉球は「県内関係各所からの意見に配慮した」としている。沖縄の県民や組織・団体の一部には“自衛隊アレルギー”がなおも根強いという現実を浮き彫りにした。

 自衛隊沖縄地方協力本部によると、公開を予定していた陸自の車両は(1)03式中距離地対空誘導弾(2)82式指揮通信車(3)軽装甲機道車(4)73式小型トラック−の4台。「1万人祭り」の場外スペースで「はたらく車大集合!」と銘打って警察、消防の車両とともに展示される運びだった。

 FC琉球の要請に応じたもので、同本部は11日、フェイスブックで展示車両の写真を添えて告知し、「この機会に沖縄の多くの人に自衛隊をより身近に感じてもらえれば」と期待を寄せていた。

 このイベントについてFC琉球は15日、ホームページで「多くの『はたらく車』を実際に見て触れる機会を創出することで、特に子供たちに対して職業観を育んだり、夢や目標を持つきっかけになればと考えている」と説明。一方で陸自車両を除外した経緯に関しては「1万人祭り」の当日、福島ユナイテッドFCとの試合が行われることに触れ「東日本大震災に見舞われた福島のチームであり、災害時の車両支援という観点だった」とし、災害支援車両以外は想定していなかった点を強調した。ただ主催側関係者は「陸自の展示車両は早い段階から把握されていた」と話している。

 今回の陸自車両の公開については、ともにFC琉球の「メディアパートナー」である「琉球新報」「沖縄タイムス」の両県紙が15日、県サッカー協会や県教職員組合に「反対」「疑問」の声が上がっていることを指摘して報道した。

 FC琉球は同日、賛否双方の意見が電話で寄せられたとして急転直下中止を決め、自衛隊沖縄地方協力本部に通知したという。警察、消防の車両は予定通り展示される。

 産経新聞は16日、FC琉球に(1)中止の判断材料となった「意見」を寄せた「県内関係各所」に2県紙が含まれるのか(2)展示するのは災害支援車両に限定すると自衛隊側に事前に伝えていたか−について電話で再三問い合わせたが、「担当者不在」を理由に同日夕まで回答は得られていない。

 自衛隊沖縄地方協力本部は16日、フェイスブックで「楽しみにされていた方には申し訳ないが、車両展示する際にはフェイスブックなどで知らせるので、ぜひお越しください」と県民らに呼びかけた。(高木桂一)

2017年8月16日 19時58分 産経新聞
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/13481356/

写真
http://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/c/9/c9327_368_ad68072868665e811b9fe0ffa336ea4a.jpg