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2017/08/16(水) 16:29:21.75ID:CAP_USER9明治安田生命J2リーグ第25節のピッチに立ったウォン ドゥジェ(写真)は、いきなり腕を伸ばして指を指しながら仲間に指示を送った。サッカーでは当たり前の光景かもしれない。けれど、まだ19歳。初めての海外は何もかもが初体験。言葉もまだ不自由で、チーム戦術も十分に理解しているとは言い難く、しかも、同じピッチに立つ仲間は、自分よりもひと回り近くも年上で、経験と実績を持つ選手ばかり。そして何よりも、この日は日韓を通して自身のプロデビュー戦。誰に遠慮することなく、物怖じせずに自分の要求を伝えることは簡単なことではない。それを平然とやってのける姿に驚いた。
正直に言えば、「J2優勝、J1昇格」を目標とするチームの夏の補強としては物足りなさも感じていた。必要な戦力は将来性のある選手ではなく、即戦力の選手。誰かのバックアップではなく、チーム力をもうひとつ上のレベルに引き上げることができる選手。韓国U−19代表の肩書があるとは言え、日本を知らないアマチュアの大学生には荷が重すぎるように思えたからだ。だが、そんな見方をウォンは自分の力で覆した。評判通りの高い守備能力に加え、強く正確なキック力と、攻撃面の高いセンスも併せ持つ。期待される中盤の守備能力はもちろん、前への推進力も十分にチームの力となり得る。ウォンとダブルボランチを組んだ三門雄大も「デビュー戦でこれだけやってくれれば、この先、心配はないというのがある。頼もしく思える部分も多々あったので、一緒になってアビスパを強くしたい」と話す。
井原正巳監督も、ウォンの実力を高く評価する。
「ディフェンスのところの力強さがあり、高さもあるので、ボランチのところではね返せるのはチームにとって大きい。長いボールを蹴れるので、サイドチェンジとか、攻撃のところでの選択肢も増えるのではないか。細かなプレーもできるので、攻守両面においてプラスの部分をもたらしてくれていると思う。いまはボランチでの起用だが、最終ラインでもプレーできるので、そういう使い方をする時もあると思う。チームのやり方や規律の理解を深める必要はあるが、試合に出ることで高まっていくはず。これからが楽しみな選手」
その言葉通り、試合を重ねるごとに、目に見えてチームへのフィット感が高まっている。第26節の町田戦では、終盤のチームの守り方と合わないプレーも見えたが、それも合流して1カ月、試合出場が2試合目ということを考えればやむを得ないこと。第27節京都戦では、ボールに関わる回数が目に見えて増えたことに加え、苦しめられた京都のハイボール攻撃に対し、冨安健洋と連携を確かめ合って、後半は狙い通りに封じ込めた。井原監督が話すように、チームの戦術理解度やコミュニケーションの部分では、まだ十分ではないところもあるが、それが解決した時、はたしてどんなプレーを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
唯一気がかりなのは、まだ笑った顔を見せてくれないということ。もともとポーカーフェイスなのだろうが、言葉の問題と、慣れないプロの環境に、必死になって向き合っているからなのだろう。公私ともに緊張の真っただ中にいる状況では、まだ余裕がないのかもしれない。でも、それも時間が解決してくれるはず。サポーターの声援に満面の笑顔で答えてくれる日も遠くはない。
文:中倉一志(福岡担当)
明治安田生命J2リーグ 第28節
8月16日(水)19:00KO レベスタ
アビスパ福岡 vs V・ファーレン長崎
https://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/n-00035778/