周囲のサポートに感謝する。

 今季の川崎でサプライズを提供しているのは誰か。多くの人が思い浮かべるのは、自身初だという1トップに順応し、ここまで自己最多の8ゴールを奪う阿部浩之だろう。
 
 阿部自身も最前線での起用に「身長の低い自分で良いのか」と、最初は疑問に感じていたという。さらに特殊なパスサッカーを展開する“川崎スタイル”にも戸惑いがあったと話す。
 
「どうしても『あ、今やったんや』と1テンポ遅れてしまいました。相手にインターセプトされる場面も目立って……。川崎に長く所属している選手たちとイメージを合わせるのは予想以上に難しかったです」
 
 それでも初ゴールを決めた9節の清水戦、1ゴール・2アシストと全3ゴールに絡んだ11節の新潟戦あたりから調子を一気に上げた。元々、プロ入り前の関西学院大時代には関西学生リーグで得点王になるなど、ストライカーとして評価され、G大阪ではサイドハーフとしてチームに貢献。確かな技術、献身性、シュート技術の高さは周囲から認められていた。
 
「新潟戦では自信を掴めました。『ああ、こういうプレーをすれば良いんだ』と、しっくりきた試合でしたね。まあ、清水戦でゴールを取れたからこそ落ち着いてプレーできたんだと思います。
 
(自己最多の8ゴールは)内心、驚いています。ただ、シュート技術に関しては絶対的な自信がありました。その特長を生かせているのかなとは思います」
 
 また、チームメイトとの関係も良好だ。
 
「僕より後ろの人はみんな上手くて、簡単にはボールを取られないですからね。良いパスがどんどん来るので助けられています。僕にボールが回ってくる時は、決めてくださいというような決定的なシーンが多いです。
 
(一番仲が良いのは)やっぱりノボリ(登里)。20歳くらいの時に一緒にトゥーロン(国際大会)に出場したので、僕がフロンターレに移籍する時はノボリが電話をくれました。
 
 それにチームに関西出身者も増えているんですよ。アキくん(家長)、(大塚)翔平、イガちゃん(井川)、武岡くん。いつも僕らでうるさくしています。他の人もノッてきてくれたら良いんですけどね。まあ実態はノボリがひとりで騒いでいて、僕とアキくんで翔平をいじるだけなんですが(笑)。でも、フロンターレの選手は良い人ばかりなので、助かっています」
 
 周囲に支えられながら、チームに欠かせない存在となった阿部。今後の目標を訊くと「タイトルがすべてです。個人の結果はどうでも良いと言ったらおかしいですが、そういうのはチームとしてタイトルを獲った後についてくるはずです」と、力強く語った。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170811-00028601-sdigestw-socc