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2017/08/10(木) 18:57:54.28ID:CAP_USER9https://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/08/10/20170810k0000m030159000p/9.jpg
「フェイク(偽)ニュース王」。米メディアにこう呼ばれた人物は、ロサンゼルス近郊のビーチ近くに住む。妻と2人の娘と一戸建てに暮らすジェスティン・クーラーさん(41)。本業はソフトウエア開発だが、「ナショナル・リポート」といったもっともらしい名前のインターネット上のサイトも複数運営し、フェイクニュースを流していた。
サイトを始めたのは5年前。当時、民主党のオバマ政権下で進む同性婚容認などリベラルな風潮に危機感を強めた保守層が、右翼系メディアの事実無根の「報道」をうのみにしていた。こうした読者の反応に興味があった。
「オバマ大統領がイスラム文化国際博物館のためにポケットマネーを出そうとしている」。こんなデタラメのニュースにさえ、保守層は飛びついた。保守系FOXニュースのトーク番組で女性キャスターが真に受けて伝えたほどだ。「驚いたよ。思っていたよりずっと簡単だったんだ」。フェイクニュースを受け入れる素地は、米国には以前からあったのだ。
フェイクニュースを流すことで「情報の中には偽物がある。もっと慎重になって」と警告する狙いもあった、とクーラーさんは言う。だがサイト運営の目的は急速に変化した。閲覧数が増えると広告収入も伸びる。「そう。売れるんだ」。2014年にはライター20人を抱え、年収60万ドル(約6600万円)に達した。
クーラーさん自身は強固な民主党支持者で、昨年の大統領選では同党候補のクリントン氏に投票。共和党候補だったトランプ氏を風刺する記事も掲載した。だが、フェイクニュースの「人気」は、圧倒的だった。
「ヒラリー・クリントン氏のメール問題を捜査していた連邦捜査局(FBI)捜査官が、妻と無理心中した」。昨年の大統領選中にクーラーさんが流したこのフェイクニュースは、3日間で50万回も交流サイトの「フェイスブック」で共有され、閲覧数は150万回に達した。
「ヒラリーが勝つと思っていた」というクーラーさん。フェイクニュースのせいでトランプ氏に負けたとは言いたくないという。「でも、もしやり直せるなら、このサイトをつくることはないだろう」【ロサンゼルス長野宏美】
https://mainichi.jp/articles/20170810/k00/00m/030/156000c