プロボクシングで輝かしい時代を築いた具志堅用高さん(62)の世界王座13度連続防衛記録に、世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級チャンピオンの山中慎介(34)=帝拳=が並ぼうとしている。8月15日に京都市で行われるタイトルマッチで防衛に成功すれば、日本男子最多タイ記録を達成。具志堅さんは「今の人たちは昭和の記録が塗り替えられるのを期待してる。新しいボクシングを見せてほしい」とエールを送った。

 具志堅さんは、故郷の沖縄県石垣島などに生息する勇ましい鳥になぞらえ「カンムリワシ」の異名を取った。ライトフライ級で13度目の防衛を果たしたのは1980年10月。当時まだ生まれていなかった山中が並べば、37年ぶりの快挙となる。

 往年の名王者は、防衛を続けるためには徹底した体調管理が大切だと説く。「私生活と体調が大事。リズムが崩れたら試合は一発で終わる」。自身は試合が決まれば本もテレビも見ず、「(体を休めるために)寝ているか、シャドーボクシング。誰にも会わない」。集中力を極限まで高めて勝負に向かった。

 自分と同じサウスポーの山中には親近感がある。「山中君は精神力もありプレッシャーに強く、冷静に試合を運べる」と太鼓判を押した。
 山中と対戦するルイス・ネリ(メキシコ)は23戦全勝(17KO)の強敵。具志堅さんは「そんなに怖い選手ではないけど、気を抜いたらやられる」と警戒を促す。

 今は複数階級制覇に重きを置く王者も多いが、山中は同一階級にとどまり強い挑戦者と戦って防衛を重ねる道を選んだ。そんな姿に「本物のチャンピオンだよ」。カンムリワシは現役時代と違う柔和な目で、そう言った。 

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