慶応大在学中だった14年9月のウルグアイ戦で日本代表デビューを果たし、英プレミアの名門チェルシーからもオファーを受けた日本代表FW武藤嘉紀(24=独ブンデスリーガ1部マインツ)。16年の2度の右膝負傷で苦境を強いられ、代表からも遠ざかってしまった。勝負のマインツ3年目に向け、先月30日に渡欧したストライカーの心情を聞いた――。

 不完全燃焼の続く点取り屋は、英プレミア・レスター所属のFW岡崎慎司が「13―14シーズンに記録した15得点超え」を声高らかに宣言した。

「1シーズン15得点っていうのは、試合に出続けてチャンスをモノにできれば、決して不可能な数字じゃない。それは2年間、ドイツで戦って感じたこと。ケガをせず、良い意味でエゴイストにならなきゃいけない。PKを譲り、それで1得点取れなかった、ではもったいない。チームメートに『コイツ、変わっちゃったな』『一体どうしたんだ?』って思われるくらいの《強さ》も、大事なのかなって思います」と彼は語気を強めた。

 FWとして貪欲にゴールに突き進むことの重要性は、日本代表のハリルホジッチ監督からも求められているところである。

「海外っていうのは《得点がすべて》だと痛感しています。ハリルホジッチ監督が『FWである以上はゴールだけを狙え』『ストライカーとして貪欲になれ』といつも言ってる通り、ゴール数が自分の評価ってことは分かってる。何よりも自分のポジションを確保するためには、点を取るのが一番早い」と武藤は言う。

 新シーズンのマインツは、指揮官がシュミット監督からシュワルツ監督に交代。FW陣もコルドバがケルンに移籍し、ボージャンが古巣ストークに戻ることがアナウンスされ、さらにオサスナからコドロが加入するなど陣容が様変わりする。

 武藤が絶対的エースに君臨して「15点以上の公約」を果たせば、その先に日本代表復帰も見えてくるし、そうなると1年後のロシアW杯参戦も現実味を帯びるはずだ。

「W杯出場は幼い頃からの夢。そこに懸ける思いは強い。僕はケガでどん底を味わった。その苦労が報われるためにも、ロシアW杯で活躍するしかない。次の(W杯最終予選)豪州戦(8月31日=埼スタ)は、今季ブンデスリーガの開幕2試合を戦って戻ってくることになる。自分がベストコンディションにあることを示し、完全復活したことをアピールしないといけないですね」

 そうなれば決定力不足に悩まされている日本代表に光明が差してくる。

 勝負の欧州3年目。武藤の爆発を待ちたい。

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