ベンチから流れを変える選手を呼ぶべきだ

日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチは、テネリフェで印象的なパフォーマンスを見せたMF柴崎岳をどう捉えているのだろうか。

柴崎が戦っていたのは2部リーグだが、それでも柴崎のプレイは目を見張るものがあった。スペイン国内でも評価は高まっており、今夏に1部のクラブへ引き抜かれる可能性だってある。司令塔としてリーガ・エスパニョーラの舞台で認められる存在となれば、日本代表メンバーに選ぶべきではないだろうか。

しかも今の日本代表には柴崎のような中盤で 攻撃にリズムを与えられる選手が欠けている。ハリルホジッチはセレッソ大阪の山口蛍やガンバ大阪の今野泰幸、井手口陽介、浦和レッズの遠藤航など守備的な役割をこなせる選手を中盤に配置したがる傾向にあるが、柴崎のようにテンポを変えられる選手は必要だ。

8月31日には2018ロシアワールドカップ・アジア最終予選でオーストラリア代表との対戦が予定されており、日本はこれに勝てばワールドカップ出場を決められる。ホームで戦えることを考えると絶対に勝ち点3が欲しいゲームだ。柴崎をこの大一番でいきなりスタメン起用する必要はないが、ベンチに置いておきたい魅力的な選手ではある。

柴崎のようなタイプがいないことを考えると、攻撃的に出たい時に流れを変える存在として重宝するはずだ。テ ネリフェでは組み立てだけでなく前線に攻め上がってフィニッシュに絡めることも証明しており、ワンツーなど細かいパスワークへの対応に疑問があるオーストラリア相手に柴崎は効果的だ。

柴崎に限った話ではない。今のハリルJAPANにはベンチから流れを変えてくれそうな選手が非常に少ない。先月のシリア代表との親善試合とアジア最終予選・イラク代表戦のベンチメンバーもあまり効果的とは言えないものだった。イラク戦では中盤で今野、ガンバ大阪の倉田秋、万全の状態ではなかった山口がベンチに入っているが、攻撃面でリズムを変えられるのは複数のポジションをこなせる倉田だけだ。

FWでは、レスター・シティFW岡崎慎司、エイバルFW乾貴士、アーセナルからシュツットガルトにレンタル移籍しているFW浅野拓磨の3人が入っているが、この中で得点が欲しい時に投入したいと思わせるのはシリア代表との親善試合で圧巻のパフォーマンスを見せた乾くらいだろう。

岡崎は所属するレスターでも得点を奪うことに苦労しており、レスターでも試合途中から起用されるケースはほとんどない。もう1人の浅野は引いた相手を崩すことを得意としておらず、カウンターから追加点が欲しい時など相手陣内にスペースが出来やすい時間帯にこそ浅野のスピードは活きる。ハリルホジッチがこの2人をどう活かそうと考えているのか分かりづらいところもある。

それならば、途中出場からゴールを決められることを海外で証明しているマインツFW武藤嘉紀や、ザルツブルクFW南野拓実の方が興味深い。

武藤は2016-17シーズンにリーグ戦で5得点を決めているが、そのうち4点は途中出場から決めたものだ。競り合いにも強く、大迫勇也ほどではないがボールを前線でキープすることもできる。スピード、空中戦、さらにはマインツで証明しているゴール前での嗅覚は代表でも活かせるはずだ。ポジションもセンターフォワードからウイングまで担当することができ、豊富な運動量から先発起用することも可能だ。

一方の南野はザルツブルクでなかなか先発出場の機会を掴めなかったが、途中出場からチャンスを与えられるとゴールを量産。最終的にはチーム内で2位となる11 ゴールを記録した。一時は64分に1ゴールを決めている状態となり、この数字は世界でも話題になった。ベルギーのヘントで結果を出した久保裕也がすっかり代表の主力になっていることを考えると、南野に全くチャンスが与えられないのはおかしいだろう。スタメンでなくとも、ジョーカー的存在としてベンチに置いてもいいはずだ。

つづく

写真
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theworld 6/29(木) 18:50配信 
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