3日間にわたって行われた大リーグのドラフト会議が14日(日本時間15日)に終了し、30球団合わせて1215選手が指名された。

 今年はレイズが1巡目に指名したルイビル大の二刀流ブレンダン・マッケイ一塁手(21)らの動向が注目された中、逸材と評判の大学生左腕は指名を見送られた。
オレゴン州立大学のルーク・ハイムリッチ投手(21)だ。

 同大学のエースであるハイムリッチは今季11試合(計103回)に投げ、9勝1敗、防御率0.87。185センチと米国人にしては上背はないものの、MAX152キロの
直球とチェンジアップを武器に114奪三振をマーク。全30球団が指名を検討し、「ベースボール・アメリカ」など野球専門メディアは確実に2巡目までに指名されると予想していた。

 しかし、ドラフト直前になって地元紙「オレゴニアン」はハイムリッチが15歳だった12年に6歳の少女への性的虐待で起訴されていたと報道。すでに更生プログラムは
受けているとはいえ、入団後のリスクを恐れて獲得を検討していた球団は、あえて指名を断念したという。

メジャーには刑務所とグラウンドを行き来している選手もいる。タイガースの守護神フランシスコ・ロドリゲスはメッツ時代の10年、内縁の妻の父親に暴力を振るって逮捕された。
ダルビッシュの同僚であるレンジャーズの守護神マット・ブッシュはパドレス時代の12年に酒を飲んで車を運転した揚げ句、ひき逃げ事件を起こして収監されている。
両者とも球団からペナルティーを科されながら、娑婆に出た後はこれまで通りマウンドで結果を残している。

 メジャーは犯罪者に対して寛容なはずだが、大学生左腕は未成年時の性犯罪が問題視され、プロへの道が閉ざされた。いったい、どこまでが許容範囲なのか。

「過去の例から判断すると、麻薬や傷害、窃盗などの犯罪歴は問題視しない球団が多いでしょう。カウンセリングを行い、元警官らを監視役に付ければ十分に
更生の余地があるとの判断からです。今回のハイムリッチのように幼児への性的虐待となれば、本人の性癖だけに矯正は難しいとみられる。
米国では特に幼児虐待に対して厳罰が科され、MLBでもDV(家庭内暴力)とともに幼児虐待に関する罰則規定を設けているほどです。性的虐待ともなれば
なおさらで、現役選手でも解雇などの厳しい処置が取られるはずです」(スポーツライター・友成那智氏)

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