お笑いコンビ「インパルス」の堤下敦(39)が14日未明に、睡眠薬を服用し意識がもうろうとした状態で車を運転した問題で、フジテレビとNHKが正反対の対応を見せている。フジは堤下が出演する連ドラを放送し、NHKは同様の情報番組の放送を見送った。人身はもちろん物損事故も起こしておらず、刑事処分もないのに、番組内容の変更を決めたNHKには批判の声が上がっている。

 堤下は14日午前2時半ごろ、都内でじんましんの治療薬と睡眠薬を服用後に約2キロ車を運転し、もうろうとした状態で道路上で停車しているのが発見された。それでも人身・物損事故は起こしておらず、刑事処分は下されない見込みだ。

 フジテレビは15日、堤下が出演する連続ドラマ「人は見た目が100パーセント」の最終回を予定通り放送。堤下の出演シーンもそのまま放送された。

 もしも重大事故を起こしていたら「さすがに何らかの措置を取らざるを得なかったでしょうね。出演シーンを編集し直して、なんとか尺を合わせるとか、最悪テロップを入れるとか。でも、刑事処分なしだから、そのまま放送しても問題ないでしょう」とはテレビ関係者。

 一方のNHKはこの日、堤下が出演するBS1の自転車情報番組「チャリダー★」の17日分の放送を見送ることにしたと発表した。気になる番組の内容は――。

 予告によると17日放送予定だった回は、堤下が出張教習所で自転車の安全講習を受けるという内容だった。NHK広報局は「(対応は)報道を見て総合的に判断した」としている。

“乗り物系”の番組とはいえ、刑事責任も問われていない堤下が出演しているからと、番組を延期するというのは「過剰反応だろう」という声もある。

 情報・メディア法が専門の田島泰彦上智大教授は「視聴者の批判を恐れて配慮しすぎです。NHKは権力に対しても“忖度(そんたく)”するが、世論からの批判にも先回りして対処し、大事を取ろうという姿勢で世間にも忖度している」とバッサリ。

 職員による受信料横領や連続強姦致傷、盗撮、痴漢、薬物事件など挙げればキリがないほどの不祥事や、ワンセグ利用者や短期滞在型マンション入居者からも受信料を徴収しようというNHKは、世間からの“お叱り”に慣れっこだけに、批判回避の対応だけは手慣れているようだ。

 田島教授は「コンプライアンスは大事だが、必要以上に縛られると番組制作側の自由な雰囲気も奪われ、むしろ、本来の報道機関としての役割も果たせなくなっているのではないか」と指摘している。

2017年06月16日 16時30分
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