京都府が亀岡市で建設予定の球技専用スタジアム建設を巡り、事業の是非を協議する府公共事業評価第三者委員会(評価委)が5日、京都市内で会合を開き、スタジアム着工を了承した。

国天然記念物アユモドキの生息に施設建設が与える影響を「軽微」とした府の調査結果について、保護策を検討する専門家会議が5月に了承したことを踏まえ判断した。

 府は工事業者の選定を進め、来年1月の工事開始、2019年中の完成、20年春の利用開始を目指す。山田啓二知事は「府民の夢を実現するスタジアム建設を、自然と共生するスタジアムとして実現すべく取り組む」とのコメントを出した。

 評価委で府は、スタジアムはJリーグ1試合当たり1万人の集客を見込み、費用対効果は、効果が費用を上回る1・51と説明した。アユモドキ保全で予定地を変更したため新たな用地取得費が生じ、数値が0・03ポイント下がった。

 委員たちは、専門家会議の結論に理解を示したが、予定地周辺の治水や渋滞対策を課題に挙げた。13年に予定地周辺で豪雨による浸水被害が起きたことを例に「土地造成で遊水機能が失われるが、治水上、大丈夫なのか」との疑問が出された。

また、府が「試合終了後2時間以内に、JRで観客を輸送できる」と見込んでいることに「観客の迷惑行為を防ぐためにも、1時間以内に設定すべきだ」との指摘があった。

 府は「河川整備計画を本年度つくり、地元に説明する」「JRの増便や臨時列車により1時間でどこまでできるかを検討する」と答えた。

 委員からは「それぞれの課題で一番深刻な状況を想定して対策を見えるようにしないと、住民の不安や疑問は解決されない」と府や亀岡市の情報公開の在り方にくぎを刺す意見も出た。

 委員長の小林潔司京都大教授が「地下水や騒音のモニタリング調査で異常が確認されたり、住民から(異常に関する)情報が入れば、直ちに工事を中止するような仕組みをつくってほしい」と指摘した上で着工の了承を提案し、委員から異論は出なかった。

写真
http://s.kyoto-np.jp/picture/2017/06/20170605225150sutajiamu.jpg

京都新聞
http://s.kyoto-np.jp/politics/article/20170605000167