サッカーJ1は14日の第11節までを終え、各チームが今季34試合の約3分の1を消化した。全18チームのうち首位の浦和から8位の神戸までが、わずか1勝分に相当する勝ち点差3にひしめき、過去に例のない大混戦となっている。

 現時点での成績は、首位・浦和と2位・ガ大阪が勝ち点22。3位・柏と4位・鹿島が勝ち点21。5位・FC東京、6位・セ大阪、7位・川崎、8位・神戸が勝ち点19と続いている(同勝ち点の場合は得失点差、さらに同じなら得点による)。

 J1が18チームになった2005年から昨年までの12シーズンで第11節(東日本大震災のため変則日程となった11年は11試合目の第16節)を終えた時点の状況を見ると、首位と8位の勝ち点差は平均で8.2ある。首位から勝ち点差3以内のチーム数は、14年に6チームだったのが最多だった。これらと比べれば、今季の混戦ぶりは際立っている。

 混戦の理由として、まず上位が勝ち点を伸ばし切れていないことが挙げられる。昨季の年間勝ち点トップの浦和、昨季覇者の鹿島は、ともに開幕黒星スタート。浦和は第9節で、それまで未勝利で最下位だった大宮に敗れるなど取りこぼしもあった。鹿島も第10節で浦和に勝って一時は首位に浮上したが、ホームでは6戦して4敗と波に乗りきれない。並行して行われているアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)にも優勝を狙って力を入れているが、石井正忠監督が「まだ(選手を試合ごとに入れ替えて戦える)2チーム分できているとはいえない」と話すなど両立に苦心している。

 失点が少ないチームが多いのも特徴的だ。第11節終了時点で11失点、1試合平均では1失点以下が10チームあるのも過去最多。手堅く1点を競り合い、どちらに転ぶか分からない試合が多い。昇格組の健闘も目立つ。昨季J2で3位ながらプレーオフを勝ち上がって3年ぶりJ1に復帰したセ大阪が6位に食い込み、清水(12位、勝ち点13)、札幌(15位、勝ち点12)も残留圏内の15位以内につける。

 Jリーグの原博実・副理事長は、今季から上位チームに重点的に高額が配分される「理念強化配分金」制度が設けられたことも挙げ「配分金での差が大きくなるので、どのクラブも今まで以上に、より上位を目指してやってくる」と見る。さらに「今季は大きな補強も多かったが、まだ新しいクラブになじみきっていない選手が多いのも、差が生まれにくいことにつながっているのかもしれない」と語る。

 ただ、序盤戦の状況のままシーズン終盤まで推移するとは限らない。05年は第11節時点で首位と8位の勝ち点差が12もあったが、最終節では5チームに優勝の可能性がある大混戦になった。疲労が大きくなる夏場の戦いや、ACLで勝ち上がっている浦和、鹿島、川崎が連戦に対応し続けられるかなどで、上位争いは変動しそうだ。19〜20日に行われる第12節でも、鹿島−川崎戦(19日、カシマスタジアム)など注目の対戦が組まれている。【大島祥平】

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