テレビ業界はNHKが2020年に向け、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4Kや、16倍の8K放送を普及させようと意気込んでいるが、ネット対応も避けて通れなさそうだ。

 米国では、スポーツ専門テレビ局大手のESPNが今年4月、名物記者やコメンテーターを含む約100人を解雇したという。同社は豊富な取材力で作りこんだスポーツ番組が好評を得ていたが、近年は米国で主体となっている有料放送の契約者の減少や、放映権料の高騰で業績不振になっていた。

ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「スマホ向け動画を好む視聴者が増え、習慣の変化に対応してコスト削減を模索していた」と指摘した。

 日本のNHKや民放も夏冬の五輪で、テレビ放映のない競技の生中継やハイライト動画をネット配信。日本民間放送連盟(民放連)によると、昨年のリオデジャネイロ五輪の動画は12年ロンドン五輪の約3倍再生され、期間中の利用者数は約5倍に増えた。スマホを介したアクセスが全体の7割を占めていたという。

 民放連の担当者も「この流れが続くのは間違いない」と認める。一方でネットに視聴者が流れれば、テレビの広告収入がマイナス影響を受けるとのジレンマもあり「ビジネスモデルをどう構築していくかが課題」と話している。