第二次世界大戦が始まると、チューリングはドイツ軍のエニグマ式暗号機を解読するためのチームメンバーとして、ブレッチリー・パークで働くようになる。
当時、解読不可能と言われたこの暗号は、タイプライター型の機械にその日の設定をして作成し、受信側の機械を同じ設定にすれば、その暗号文の元の文が出てくるという仕組みだった。
この設定は天文学的な数の組み合わせがあり、その組み合わせをしらみつぶしに試すには、人手で計算すると、何万年もかかってしまう。

チューリングを筆頭に、多くの暗号解読者が解読作業を試みたが、失敗の連続だった。しかし1941年、チューリングが電気機械式の暗号解読装置を生み出し、エニグマ暗号は解読できるようになる。
解読装置は200台以上作られ、ドイツ海軍のUボートの位置などを正確に把握することが出来るようになった。この成果によりノルマンディー上陸作戦は成功し、終戦を大幅に早めることができたのだ。