俺の痛すぎる大学3年間を語る
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陰キャオタクの自分語り()に付き合ってくれないか? スペースにたどり着くと、すでに長机の下には印刷所のダンボールがあった。
笹子さんと二人で興奮しながらスペース内に入り、
「これですよね!?」と急いでダンボールを開封。
なんとも言えないインクの匂いともに…
俺と笹子さんの苦労の結晶である、同人誌の束が出てきた。
俺「す、すごい! 本当にちゃんと、本に、本になってますよ!!」
笹子「マジだ!すごい!ちゃんと本だ!」 作った部数は、ちょっと強気の50部。
いや、大手のサークルさんからしたら、大した数字じゃないだろうが。
初参加で、かつオリジナルの同人誌とあっては、かなり冒険した数字だった。
でも、笹子さんはピクシブでも普通に人気があったので、
このくらいの数字にしても普通に大丈夫だろう、という算段だった。
初めての同人誌にすっかり舞い上がった俺と笹子さんは、
あたふたしながらサークル設営をしつつ、
隣のサークルさんと挨拶をして新刊を交換したり、スタッフさんに見本誌を提出したり、
そんな初めての「同人イベントの定番」を楽しんだ。 そして、時刻が10時になり……
会場内、一斉の拍手とともに、コミケがスタート。
その拍手の文化を知らない俺と笹子さんは、
きょろきょろと周りを見回しながらも、なんとなく拍手をした。
開始してから15分弱で、「新刊ください」と、
一人の男性が同人誌を購入していった。
緊張でどぎまぎしながら「ありがとうございます!」と
言って、本を手渡した。 俺と笹子さんは「売れた!」と大はしゃぎ。
「本当に買ってくれる人がいた!」と二人して大喜びであった。
その後も、あまり途切れることなく、俺と笹子さんの同人誌は次々と売れていった。
その度に、俺も飛び跳ねて喜んでいたが…。
けど、時間が経つにつれて俺は気づいた。
これ、買っていってる人、ほとんどが笹子さんのファンだ。
考えてもみれば、当然のことであった。
だって笹子さんはpixivでもランキングに入るほど、
すでにそこそこ知名度があって、かつイラストもすこぶる上手い。
そんな人と合同で本を出したら……そりゃあ、笹子さん目当てで買いに来る人ばかりだろ。 立ち読みする人もみな、笹子さんのイラストパートを熟視して購入しているし、
声をかけてくる人も、みんな「○○さん(笹子ペンネーム)います?」としか言ってこない。
開始1時間くらい経過してから、今さら俺はその事実に気づき……
スペース内で一人また、自分を客観視していた。
「笹子さんと同人誌が作れる」っつって一人で勝手に盛り上がって舞い上がっていたけど、
結局、結局……現実はこれだ。
俺はただのヘボで、主役ではない。
この同人誌だって、作る意味はなかったんじゃないだろうか? 昼過ぎあたり……同人誌の在庫もわずかになってきた時。
俺はふと、こんな事を言ってしまった。
俺「この同人誌……俺、必要だったんすか?」
笹子「…どうして?」
俺「だって買いに来る人はみんな笹子さん目当てで…」
俺「はっきり言って、俺の漫画なんてただの邪魔ですよね?」
そう言うと、笹子さんはイベント効果で高揚していたのか…いつもの笹子さんとは違った。
ぱしん、と俺の肩を叩くと、
「何言ってんの!1くんの漫画最高だったじゃん!」と楽しげに言った。 笹子さんは、同人誌を開いてまじまじと眺めた。
笹子「1くんの漫画、すごく面白かったよ」
笹子「描いてくれて本当に感謝してるし、私、また1くんの漫画読めて…本当に嬉しかったよ」
ちょっと前まで「笹子さんは印刷費を抑えるためだけに俺を利用したんじゃ…」
とか考えていた自分を、殴り倒したくなった。
笹子さんのその表情には、まったく嘘偽りがなかった。
本当に、心の底から、きっと俺の漫画を楽しみにしてくれていた。
というか、どうかそうであってほしい。
あの女神のような表情が、嘘であったなら、俺は死ぬ。 俺「笹子さん……」
笹子「だから、そんな事言わないでほしい」
笹子「少なくとも今日、私たちの同人誌はたくさんの人の手に…渡ったんだから」
俺「まあ……それも、そうですね」
俺は、あと数冊になった同人誌の残りを見て、
最後までイベントを楽しもう、と思った。
そして、それから少しだけ間があって……。 笹子さんのファンと思われる若い女性が一冊購入していき、
そのすぐ後であった。
俺と同性代くらいの、若い男性が「いいですか?」と同人誌を手に取った。
そしてしばらく熟読。
一回読んで、もう一回読み直す。
そして笑顔で顔を上げると……
男「この漫画描いた方、今いらっしゃるんですか?」
急な質問に、俺も笹子さんも驚く。
俺「あ、俺……ですけど」 男「この漫画、すごく面白かったです!一冊ください」
そう言って笑顔で、500円を差し出した。
初めてのことだった。
まったく知らない誰かに、直接、自分の漫画を褒めてもらったこと。
だから俺は嬉しくて、嬉しくて、混乱してしまい……
その男性が去ったあと、スペースに立って売り子をしたまま、涙を流していた。
笹子さんに「大丈夫?」と心配されたが、
涙は止まらず、ぼろぼろと泣き続けていた。 誰にも認められることのないと思っていた、自分の漫画。
自分の生み出すものは、ずっとずっとクソだと思っていた。
でも、いた。
今日、確かに、そこにいた。
どこかの、知らない誰かに、届いた。
そう思うと、もう自分の感情がわからなくなり、ただぼろぼろと泣くしかなかった。
でも、考えてみれば……最初からそうだったのかもしれない。 横森さんがいた。穂高も褒めてくれた。
笹子さんも俺の作品を好きだと言ってくれた。
高校の時だって、中学の時だって、ずっとずっとそばには、
俺の作品を好きだと言ってくれる人がいた。
なのに、夢とか漫画家とか、大きすぎる目標だけが先行してしまって、
自分の中でそういった人たちの存在にずっと気づかずにいた。
バカだと思った。
いつだって、どんな時だって、必ず……
誰かが自分の作品を見ていてくれる。
俺は、そんな単純なことにずっと気づいていなかったんだ。 そして、笹子さんと参加したコミケで、俺は……
そんなシンプルな事にやっと気づくことができた。
絵はただ自分が楽しいから描くものだったし、
そして、それを応援してくれる人は、気づかないだけで、どこかにいるんだ…と。
この、コミケの熱狂渦巻くビッグサイトのど真ん中で、
俺はそんな単純なことに気づき……
ただただ、涙を流すしかなかった。 結局、笹子さんとの合同誌は昼過ぎにはめでたく完売し、
俺と笹子さんは14時過ぎには会場から撤収した。
なんだか、いつになく、本当に清々しい気持ちだった。
一日中熱気の中にいて、体なんか全身汗だくでひどいものだったけど、
外はバカみたいに晴れていて、この上ない青空が広がっていた。 俺「なんか、よかったです。今日参加して」
笹子「ほんと? 1くんがそう思えたなら、本当によかった」
俺「正直言うと、ちょっと怖かったり…卑屈になっていた部分もあったんです」
笹子「……そっか」
俺「でも、なんか全部どうでも良くなったっていうか。もちろん、良い意味で」
笹子「…うんうん」
俺「笹子さん、俺……また絵とか漫画、描きます」
俺「だって、描くのは……楽しいですから」
俺がそう言うと、笹子さんは小声で「だろ?」とだけ言い、にこりと笑顔を咲かせた。 色々あったけど、やっぱり俺は、絵を描いてきて良かったと思った。
痛すぎる行動も何度もしでかしてしまったし、その代償が消えることもない。
けど……
俺は、きっとこれからもまた懲りずに絵や漫画を描き続けるんだろう。
ビッグサイト前のやぐら橋で振り返ると、
あの”逆三角”が青空のなかにくっきりと浮き立っていた。
俺「俺、またなんか描きたくなってきました」
笹子「わかるよ。私も」
俺「帰ったら、何描こうかなぁ」 ということで…この話はこれで終わりです。
今まで長い間、お付き合いいただいて本当にありがとうございました。
https://twitter.com/Tomizawa_2ch
↑Twitterもやってますので、もしご感想があればこちらにお願いします。
それでは、本当にありがとうございました。
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account) あー、、お疲れ様。。
すごく綺麗なドラマだったからそうかもなぁとは思っていたが
創作だとしてもホントに楽しめたよ。ありがとう。
なんかこの世界に入り込みすぎて、俺もどっと疲れたよ お疲れ様でした。
とても楽しませて頂きました。
まさか、ゲーセンの方とは思わなかった……
ありがとうございました。 これ思うんだけど、大袈裟じゃなく
夢を追いかけてる人は必見の読み物だろこれ
特に、クリエイター系目指してるやつ MAJORやダイヤのAよりあお高で気付くべきだったわ
そんな奴富澤くらいだよな >>628
ここびっぷらだぞ?
気づきながらも楽しんでた人もいるんじゃないか
なんにせよ俺は楽しかったからそれでよしや
いやていうかあお高で気づく意味も分からんけどw >>631
ほれ、代わりに
>>1の絵っつーか作者の富澤さんの絵だしTwitterにあげてたやつだけど
https://i.imgur.com/QBW7Nl9.jpg >>629
地味なあお高って言うのが富澤ぽいだろ?
今思うと自殺騒動も臭すぎる
楽しくなかったとは言わんが気付けなかったのが悔しいんだよ
気付いてたら違う楽しみ方ができたのに >>634
確かに自殺騒動はアレだったけどぶっちゃけそこまでの積み重ねがあったから俺も気づかんかったよ
あの騒動が序盤でいきなり出てきたらまた違うだろうけど
そんなもんじゃね? さすが漫画描く奴なだけあって読ませる文章書くねえ
それにしても>>1みたいな青春送りたかったな
俺なんて本当の意味で大学時代も何もせず結局今も腐ってるからな
何も趣味がないからと大学生になって初めて絵を書いてみようと思ったけどやっぱり絵を描くのが好きとかじゃなくやることが無いからやってみようかなみたいな弱すぎる動機だったからか全く成長しないままやめてしまった
楽器も同じような感じで結局全く弾けるようにならず
>>1と違って空っぽすぎる人間だから一年で入ったサークルでも全く会話に馴染めずフェードアウトしていって学科でも友達0のまま4年間ダラダラと2chのまとめとか見て過ごした
アニメや漫画すらほとんど読む気になれなかったけど殆どうつ病みたいな状態だったな
まあなんにせよこうやって読み物に出来るような大学生活をおくれてるなら幸せなんじゃないかとおもう
なんのストーリーもイベントもない学生時代を過ごして今は死んだ顔で倉庫で働いてる俺から見ると眩しくて仕方ないわ 富澤さんって2〜3年に一度スレ立てするよね
なんにせよ偶然立ち会えて嬉しかったです >>633
富澤って絵も書けたんか
シンプルにすごいな ホント楽しかった!
これをちゃんとした作品として改めて出して欲しい! 面白かった。でも創作だろうけど創作なのかはっきりさせろよ 富澤の話はいつも終わり方が雑だよね
「実は富澤でした!」を結末の代わりにしてる
今回はスレタイの大学3年間を語ってないから特に不完全燃焼というか
忙しくなったから途中で切り上げたようにしか見えない 「俺も1と似たようなことやってた」というレスをスルーしたのが謎だったけど
富澤自身が1に全く共感できないからなんだろうな 創作だしどうでもいいかもしれんがこれ結局主人公が痛い奴なのは治ってないよな 「富澤でした」はデウスエクスマキナだから
富澤という神によって主人公は救われたということなんだろう
読者には途中で放り投げたようにしか見えないけれど 『超現実逃避雑談』
(20:41〜放送開始)
hps
live.nicovideo.jp/watch/lv330210838 まあ創作だろうと思ってたけどさ
なんかちょっと悔しいわ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています