まだたくさん、テレビ関係時代のお話はあるのですが、実は、あまり面白い話ばかりではありません。
以前、「TVの世界は100%作り物」なんて事を書きましたが、まぁ実際は、先に書いた素敵な役者さんたちもいらっしゃる事ですので、「99%」くらいにしておきましょう。

自分は美術部の小道具や持ち道具の仕事をしておりましたが、屋外のロケの場合、撮影現場に入るとまず、周辺の自動販売機を隠します。
文字通り、隠します。あの手この手で、見えなくします。

何故なら、ほとんどの場合、飲料メーカーがスポンサーに付いているからです。
「他社の自販機のロゴを映すとは何事だ!」と、スポンサーに怒られます。本当に、クレームになります。
バラエティーでは、そこまで無いかも知れませんが、気をつけて見ていただくと分かると思います。
最近では、デジタル処理でモザイクかけたりもしておりますが、当時は物理的に隠していました。
もしくは、架空の飲料ラベルをでっち上げて、上から貼ります。NHKが良くやる手法です。

そもそも、スポンサーはたった20秒のCMに、数千万から数億の金額を投入します。
それほど、テレビの画像にはお金がかかっているのですが、肝心の本編、番組の中で、やれトラブルだー、ハプニングだー、あり得ません。
夢の無い話で恐縮ですが、自分の知る限り、ほとんど作り物です。仕込みです。
よくお笑い芸人とかが、「台本に無い事言うなよ!」なんて言いますが、それも台本に書かれています。
放送作家のお仕事です。儲かるはずです。

話はドラマのロケに戻ります。

次に、電柱の広告を隠し、住所表記を隠します。
道を歩いていると、結構多いんですよね。住所表記。
屋外ロケをやるのは板橋区の高島平なんだけど、ドラマの場面的には世田谷区だから、「田園調布8丁目」とか、実在しない住所を作って上から貼ります。
広告の電話番号なんかが映っちゃうと、結構とんでもない事になるそうで、必死で隠します。
バラエティーでたまに見るADさんが、腰に様々な色のガムテープをぶら下げているのは、そのためでもあります。隠した部分を背景の色に馴染ませて、画面で見た時に見えづらくするためです。

でも自分みたいな元プロが見ると、「あ、あそこ何か隠してる。」と、すぐに分かります。
逆に、そーゆー目でテレビとか映画を観ると、非常に面白くありません。ストーリーが入って来ません。