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タイコ「きんぴらゴボウの作り方?いいわよ教えてあげる」
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0001名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 0adb-a7mP)
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2018/05/06(日) 19:44:08.39ID:ssj2vnT+0
サザエさん出演のタイコさんを主人公とした物語
退屈な毎日を送るタイコが青年に惹かれていくお話

書き留めたものを少しずつ投稿していきます

タイトル:「錆びた日々」
0090名も無き被検体774号+ (アウアウオー Sa93-mOCQ)
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2018/05/12(土) 23:54:20.43ID:QT3zxJgNa
>>89
保守ありがとう
0092名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 20:57:52.53ID:oe+6RfUr0
保守どうも!
土日で書き留めようと思っていたが全然進まなかった、、、

取り敢えず第三章が終わるところまで書き込んでいきます
0093名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 21:07:30.59ID:oe+6RfUr0
 外からパラパラと軽い静かな定期的な音がする。雨が降ってきたようだ。

「あ、降ってきましたね。今日は夜までずっと降るそうですよ」

 天気を見ずに出てきたので傘を持ってこなかったことに気づく。ベランダから外を見た時は晴れていたので大丈夫だろうと思っていたが違ったようだ。いつも、朝起きたら必ず天気は確認するようにしていたのに。
ここまで浮かれていたのかと赤面しそうになる。

 彼との食事を終え空になった食器を流しへ持っていく。彼が食器を洗い、私が洗い終わった食器を拭いて元の場所に片付けていく。とても不思議な気分だ。いつも行っている家事の一つであるのに初めてのような新鮮さがある。
きっと彼の部屋で彼と一緒に作業をしているからなのだろう。
0094名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 21:19:27.58ID:oe+6RfUr0
「ご苦労様」洗いものが終わった彼に笑いかけて言う。

「まだ時間大丈夫ですか?お茶飲みます?」彼が急須と湯のみ茶碗に手をかける。

 時計を見る。もう十三時半、あと一時間もいれないだろう。

「ええ、まだ大丈夫よ」お茶を一、二杯飲んだら帰らなければ。

「じゃあお湯を沸かして持っていくので座ってて下さい。タイコさんはお客さんなんですから」ポットに水を入れながら言う。

「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えさせて頂きます」

 湯のみ茶碗二つだけを持って台所から離れる。何かしらの支度をしなくて済むのは助かる。
0095名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 21:30:47.71ID:oe+6RfUr0
「ねぇ、帰る時傘を借りてもいいかしら?今日持ってきてなくて」座布団に座り直し訊く。

「ああ、いいですよ。ビニール傘でよければ」ポットに電源を入れる音がする。

 傘を借りたら返しにまたこなくてはならない。それを計算して持ってこなかったのではないかと邪推されていないか不安になる。彼はそんな性格が悪い人ではないと分かっているのに。考えすぎてしまう。

「傘、後日返しに来るわ。玄関のところに掛けて置いておくわね」打算的な人と思っていないよう祈る。

「返しに来なくてもいいですよ・・・・・・と言いたい所なんですけど傘一本しかないんで返して頂けるなら嬉しいっす」
0096名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 21:45:08.64ID:oe+6RfUr0
「明日。仕事よね?大丈夫、傘なくても?」

「明日の朝にはやむみたいなんで、明日はとりあえずなくても大丈夫すよ」

「ねぇ次の休みはいつ?また料理を教えるわよ」駄目元でも訊いてみる。

「え?またいいんすか?それはありがたいっす!」

 ポットから水が蒸発する音がだんだん大きくなっていく。

「次は水曜が休みですけどタイコさんは大丈夫なんですか?」

「ええ・・・・・・その日は都合が付くから大丈夫よ」考えている素振りをして答える。本当は都合が付こうが付かまいが来るつもりでいるのに。

 水曜日は普通の平日だからイクラが手元にいる。どうしよう。サザエさんにお願いして預かってもらおうか。
0097名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 21:54:56.01ID:oe+6RfUr0
「何の料理が作りたい?少し難しいものでもいいわよ」苦しいことを考えたくなく会話を続ける。あとで考えて決めればいい。

「サバの味噌煮とか作ってみたいす。あとハンバーグとか」沸騰し終わったポットと急須を持って彼が卓に戻ってくる。

 彼がいれてくれたお茶を飲みながら水曜に作る料理を彼と話して決める。次はサバの味噌煮とハンバーグと大根サラダを作ることになった。

 なんて至福のときだろうか。いつも飲むお茶が数段美味しく味わって飲めた。料理の献立をこんな風に楽しく決められたのは本当に久し振りである。

 ノリスケさんが休みの時は昼食を食べ終わった後、すぐに今日の夜ご飯はなんだと聞いてきていた。そう聞かれて献立を考え答えていた時は辛かった。
0098名も無き被検体774号+ (アウアウウー Sa89-0+7M)
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2018/05/13(日) 21:55:16.77ID:wf9MDWfqa
ここまで読んだ━━⊂二二二( ^ω^)二⊃━━ここまで読んだ
0099名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 22:09:22.42ID:oe+6RfUr0
 いや、こんなことを思い出すのはやめよう。思い出さないようにしなくては。だって、今はこんなにも楽しいのだから。

「じゃあ、そろそろ失礼させて頂くわ。料理頑張ってよ」彼に微笑み立ち上がる。

「いやあ、今日は本当にありがとうございました」頭を丁寧に下げる。

「あ、これよかったらどうぞ。似合うかどうか分からないんですけど」

 彼も同じように立ち上がり本棚の横に置いてある小さな紙袋を手に取る。

「え、いいのよ別にお返しなんて。わざわざ買ったの?」

「いえ、美容院で従業員から商品券を貰ったんでそれで買ったやつです。安物なんで遠慮しなくても大丈夫です」袋から小さな箱を取り出し開ける。
0100名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 22:20:14.86ID:oe+6RfUr0
 小さな薄紫色の丸みが付いているノンホールピアスが二つ。耳に穴を空けないで付けられるピアスだ。確かにウィンドウに陳列してあるような高級品ではなく雑貨店で売られているようなピアス。だが、小さいからこそ付けた時に上品さを醸し出すだろう。
薄紫色だというのもより一層に上品さを上げてくれる。

「ありがとう、嬉しいわ。大切に使わせていただきます」彼の手から小さな箱を貰う。

 直貴がタイコに渡したピアスは一時間も雑貨店の中を回って決めたものである。商品券を持ちながら店の中を悩み歩きながら見て回っているのを見かねた店員が声をかけ、上品な女性に合う物を、との要望に店員がお勧めしてきたのがコレである。

 内心、安物ね、と笑われるのではないかとヒヤヒヤしていたが目の前にいるタイコさんが屈託なく喜んでいるのをみて直貴は救われる思いでいる。
0101名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 22:37:43.80ID:oe+6RfUr0
「じゃあ、傘お借りして水曜日にお返しにくるわね。さっき伝えた食材の準備だけお願いね」パンプスに足を入れながら彼に伝える。

「大丈夫です。ちゃんと忘れないようにするんで」水曜までにあらかじめ準備する食材が書かれたメモを指ではさみ横にふる。

「車に気をつけて帰ってくださいね」

「子供じゃないんだから大丈夫よ。プレゼントありがとうね、直貴さん」扉を開けながら彼に手を振る。

「いえ、こちらこそ」目元を細め同じように軽く手を振り、直貴は綻んだ顔でタイコを送り出す。
0102名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 22:47:27.38ID:oe+6RfUr0
 雨が降っているがそんなことは全然気にならないくらい上機嫌で足を進める。とても楽しかった。まるで夢を見ていたようだ。いや、本当はさっきまでが現実で今から戻る場所が夢の中なのでないかと思ってしまいたい。

 でも、そんな都合がいい自分勝手は許されるはずがないと自分に言い聞かせる。本当の現実に戻らなければ。歩みを進めながら緩んだ頬を元に戻し真面目な顔で駅に向かう。電車に乗り自分の住む町に戻る頃には、雨が煩わしいと思っている主婦の顔へと変わっていた。
0103名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 22:56:35.88ID:oe+6RfUr0
 デパートの中へ入り化粧室に入って、彼から先程貰ったばかりのピアスを耳に付ける。とても綺麗だ。似合っていなくても彼から貰ったという理由で付けていただろう。切った髪にすら気づかない人だ。このまま付けて帰っても問題はないだろう。
万が一気づいてもデパートで買ったと言えばいいのだから。

 化粧室から出て早歩きでデパート内の紳士服売り場に足を運ぶ。すぐに注文受付カウンターに直行し店員に呼びかける。

「木曜日に取り寄せをお願いしていた波野です」

「はい、波野様ですね。少々お待ち下さい」紙袋へと入れられた商品を受け取り、支払いを済ませる。
0104名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 23:07:49.20ID:oe+6RfUr0
 木曜日にデパートへ来た時にわざわざ陳列されていない商品をカタログの中から選び、取り寄せをお願いしていた商品を受け取る。同様に子供服売り場、婦人服売り場、靴屋でも取り寄せをお願いしていた商品を受け取る。

 紙袋をいくつも持ち家に帰宅する。これで一日デパートを見て回っていたという行動にぬかりはない。

「ハーイハーイ!」玄関の扉を開けると中部屋からイクラの出す元気な声が聞こえてくる。

「もう駄目だ。疲れたよー」イクラの馬役になっていたノリスケが声を上げている。

「あら、楽しく遊んでいたようね」
0105名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 23:10:12.17ID:oe+6RfUr0
「おう、お帰りー。もうずっと馬役になっててクタクタだよ」イクラを背中から降ろし散らばったおもちゃを片付け始める。

「遅くなってごめんなさい。今、食事の準備をするわね」

「ずいぶん、買ったんだな」床に置いた紙袋を見て言う。

「ええ、おかげさまでゆっくりと買い物が出来たわ」

 いつからこんなに嘘がうまくなったのだろう。平気で口から出る言葉が自分のものではないと感じてしまう。
0106名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 23:15:39.86ID:oe+6RfUr0
 食事を終えてお風呂に入りイクラを寝かしつけたあと、キッチンのテーブルで雑誌に視線を落とすが頭の中では彼との会話、彼の表情、彼の仕草をひとつひとつ思い出す。時間を忘れたように思いふけっていたら隣にノリスケさんが立っていた。
いつの間にか居間のソファから移動していたことに気づかなかった。

「なぁ、タイコ。久し振りにどうだ?」

 顔を上げる前に話しかけられて肩に手を乗せ触れてくる。耐え難い嫌悪感が襲い、寒気が体中に走る。

「ごめんなさい。今日、疲れているから」肩をのけぞらせて彼の手を外そうとするが乗せられたまま手をどけない。

 言葉に出来ない嫌気がする。汚らわしく憎悪が溢れ出そうになる。
0107名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 23:23:01.90ID:oe+6RfUr0
「なぁ、ちょっとだけでいいからさ」服の上から膨れ上がった股間を見せつける。

 下卑た目で私を見下ろしていることに腹が立ち耐えられなくなる。なんて汚らわしく意地汚いのだろう。無様で哀れで淫らで薄汚く非常識な欲望を向けられて苛立つ。

 ノリスケさんが後ろに周り、両肩に手を置こうとしてくるので勢いよく立ち上がる。

「ごめんなさい、本当に今日はもう疲れてるの。もう、寝かせてもらうわ」小走りに扉を開け寝室に入り布団に潜り込む。

 今日あんなにもいいことがあったのに、どうしてこんな陰鬱な気分にならなければならないのだろうか。つらく虚しさが襲ってくる。もう一度彼のことだけを考えながら眠気に身を任せて眠りに入る。 
0108名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/13(日) 23:29:16.17ID:oe+6RfUr0
第三章はこれで終わりです

今の所、起承転結の転に入ったくらいです
もうちょっとだけ続きます

次は明後日の書き込みになりそう、、、
0111名も無き被検体774号+ (ワッチョイWW 5511-mOCQ)
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2018/05/14(月) 19:32:02.40ID:wMkYh93a0
やーっと読めたー!ww
>>108乙!
続き楽しみにしてます!
0113名も無き被検体774号+ (スッップ Sd43-ZdvW)
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2018/05/15(火) 20:23:52.21ID:XTbAam16d
>>37
0114名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/15(火) 21:59:44.81ID:ubbL5+HW0
今日もちょっとだけ書き込んでいきます
取り敢えず区切りのいいところまで
0115名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/15(火) 22:01:49.85ID:ubbL5+HW0
第四章
 今日は日曜であったがどこにも行かずイクラと家で過ごした。絵本の読み聞かせやおもちゃで遊んでいたらいつの間にか夕方になっていた。ノリスケさんは私との気まずさからなのかイクラと遊び疲れるのが嫌なのか外にパチンコに行ってしまい、夕方頃に帰宅してきた。

 三人で夕食を囲む。何か話をしなければ。

 水曜日が訪れるのは待ち遠しいが、それまでは普通に過ごさなければ。家事や料理は通常どおり滞りなくすませなければならない。
0116名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/15(火) 22:14:57.01ID:ubbL5+HW0
 彼と会う息抜きのような時間は別世界だ。どちらかのためにどちらかを失うとか、そういう世界ではない。彼と会う時間は普段の日常を満たしてこそある。この二つの世界があってこそ、健やかに生きていける。どちらもあって私は満たされる。どちらもないと生きていけない。
完全に分離した、別世界そのものだと錯覚する。

 だけど、これからも二つの世界を持って生きていける自信はない。どこかできっと心の均衡が取れなくなる。

 焦って、安心して、また不安になって、また焦る。いつまでこうしているんだろう。いや、いつまでこうすることができるんだろう・・・・・・。

 ノリスケさんに話す会話を考えようとするが、話すべき共通点が出てこない。とりあえず無難な話をしなければ。
0117名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/15(火) 22:24:07.47ID:ubbL5+HW0
「明日から月曜日。また一週間の始まりね」彼と目を合わせる。

「ああ、そうだな。また長いな。主婦は納期や締め切りに追われなくていいよな。まだ原稿が上がっていない人が多くて大変だよ」気怠げに豆腐を崩しながら言う。

「あら、主婦だって時間に追われているわよ。買い物や家事や子育てで」

 悪気はないのだろうが心の奥底で主婦を軽視されていることに苛立つ。

「満員電車での通勤や上司と作家との板挟みに比べれば楽なものだよ。替われるものなら替わりたいよ」ビールを飲みながらため息を吐く。

 右目の下瞼がひきつりそうになった。どうせ私には労働することが無理だと決めつけての発言。確かに数年しか働いたことがなく、ノリスケさんが抱える負担は想像でしか出来ない。
そのつもりはないのだろうが、俺は有能でお前は無能だと暗に言われたのではないかと思ってしまう。
0118名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/15(火) 22:32:44.28ID:ubbL5+HW0
 お互いの無知からくる誤解だ。共通認識のずれ、今日パチンコで負けて悔しいのだろう、理不尽に怒る必要はないと自分に言い聞かせるがどうしようもなく苛立つ。

「そんな辛い気苦労をしてくれているから、私達はありがたく暮らしているわ。感謝してるわよ」

 変に喧嘩をするのはよくない。冷静にならなければ

「そうだな」面倒臭そうにテレビの方を見る。

「バーブバーブ」ご飯を食べ終わったイクラが始まったアニメを見たいらしく椅子から降りたがる。

「イクラ暴れると危ないわよ。今、降ろすから待ってね」イクラを子供椅子からかかえ降ろしてあげる。
0119名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/15(火) 22:38:29.59ID:ubbL5+HW0
 イクラが食べた食器を重ねて、食事に集中する。

 もし、イクラがいなくてノリスケさんと二人きりだけったら、きっとこの机の真ん中にあるサラダを入れたガラスボールを床に叩きつけて粉々に粉砕してたであろう。ヒステリックに泣き出して喚き散らしていたかもしれない。

 自分が自分で嫌になる。せっかく作ったマーボーナスの味がしなくなる。

 タイコが食器の洗い物をしてお風呂に入っている時にノリスケがイクラに話す。

「タイコ、不機嫌そうだったな」

「バーブ?」何を言っているのかという顔をする。

「イクラも大人になったら分かるさ。大人の問題があるんだよ・・・」

 ここは大人の余裕と寛容さを持って接してあげなければな。タイコは生理なんだろう。

 涼しい顔をして物分りの良い夫の顔を呈する。
0120名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 23db-uCqk)
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2018/05/15(火) 22:47:26.17ID:ubbL5+HW0
今日はここまで
続きはまた近々書き込むのでお待ちを

ドラマ、ゴーストライターを観ながら動力を上げるわ
0122名も無き被検体774号+ (アウアウオー Sac2-XkxN)
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2018/05/17(木) 00:21:50.18ID:yOlDjLCNa
>>120乙!
あまり余計な事言って創作意欲の邪魔しない様に気をつけるわ!お身体大切に!
0123名も無き被検体774号+ (ワッチョイW c639-gQlO)
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2018/05/17(木) 00:42:39.46ID:Q1iy6YUx0
対抗馬さん
0124名も無き被検体774号+ (ワッチョイWW 0d11-XkxN)
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2018/05/18(金) 14:44:51.09ID:qIchrZyk0
0125名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/19(土) 23:38:22.64ID:XnKahhRd0
書き込みます
dat落ちする前に終わらせねば
0126名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/19(土) 23:40:28.14ID:XnKahhRd0
 今日も家事と掃除をいつも通りにこなす。サザエさんに水曜日、イクラを預かってもらうための電話をする。

「もしもし、サザエさん?突然のお願いになるんだけど、明後日イクラを預かってもらえるかしら?友達のお見舞いに行かなければならなくなってしまって」

「あら、大丈夫よ。何時頃からかしら?」

「十一時頃から十六時頃までお願いしたいんだけど大丈夫かしら?」

「ええ、大丈夫よ。タラちゃんもイクラちゃんと遊べるなら喜ぶわ」

「申し訳ないけど、お願いします。では水曜にお伺いしますね」

 受話器を置き。イクラに喋りかける。

「イクラ、水曜日サザエさん家に行くわよ、タラちゃんと遊べるからね」
0127名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/19(土) 23:41:56.42ID:XnKahhRd0
「ハーイ、ハーイ」イクラが喜んで笑う。

 ノリスケさんは私の言動に対して微塵も疑いは持っていない。不安になることがなくて安堵するがそれと同時に心の底で寂しさが浮かぶ。

 朝、ゴミに出す袋を縛っていた時ノリスケさんが出勤時に捨ててくると言ってゴミ出しを代りにしてくれた。いつもならゴミ出しの曜日もよく分かっておらず関心なんて示さないのに。突然の手伝いに驚いたがノリスケさんはノリスケさんで気を使ってくれたのだろうと思う。

 変な不信感を持たれないためにも水曜までは普段取りに過ごそうと決める。
0128名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 00:06:31.27ID:3uV43OEZ0
 火曜日、イクラと一緒に今日と明日の夕食を購入するために行った商店街の魚屋さんでカツオちゃんと会う。

「タイコおばさん、こんにちは」元気な挨拶。

「あら、カツオちゃん。お使い?偉いわね」

「姉さんが買い忘れてたものがあって僕がお使いで頼まれたんだよ。全く姉さんには困ったものだよ」呆れたような困った顔で答える。

「でも、ちゃんと断らずに買いにきたのは偉いわね」

「まあ、お駄賃を貰ったからね、断るわけにはいかないよ。それより、最近ノリスケおじさんどうです?優しいですか?」

「え、ノリスケさん?いつもと普通な感じだけど?」
0129名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 00:54:35.08ID:3uV43OEZ0
 何を聞かれているのか分からない。何故、急にノリスケさんの話題を出したのだろう。変に顔の表情を変えず聞き返す。

「昨日、マスオさんと帰りにバッタリ会って飲みに行ったらしくて、タイコおばさんが最近家事で忙しいので今朝はゴミ出しをしてきたって自慢してたんですよ」

「そうね。確かに昨日はゴミ出しをノリスケさんがしてくれたので助かったわ」

「姉さんがお父さんにもマスオ兄さんにも家事を手伝って欲しいってボヤいてましたよ」

 どうして昨日の今日でよくもこれだけ人の噂が簡単に広まってしまうのだろう。小さな町で起こる出来事に一喜一憂して、楽しむ。そんな監視社会のような町が煩わしく思ってしまう。皆、寛容と言う名の無関心を貫いていてくれたら楽なのに。
0130名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 00:56:29.19ID:3uV43OEZ0
 ノリスケさんが自慢していたというゴミ出しなんて家事に入らないものだ。あんなゴミ袋一つを捨てにいったくらいで大きな顔をしていることに苛立ちを覚える。

 今回の出来事も他の人達にとっては小さな日常のひとつなのだ。きっと『男たちの家事』という名前で物語でも繰り広げているのだろう。そんなどうでもいいことに関わるのが億劫に感じる。早くこの場を切り上げて去りたくなった。

「あら、そうなの。家事を少しでも手伝ってくれるなら主婦は大喜びよ。カツオちゃん買ったのはお肉?早く帰らないと傷んじゃうわよ」買い物袋にいれてある中に目をやる。豚肉らしきものが入っている。

「ああ、そうだった。ノリスケおじさんに会ったらもっと家事を手伝うように言っときますよ。じゃあ、失礼します」
0131名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 00:57:44.29ID:3uV43OEZ0
「ええ、気をつけてね」

 急いで走っていくカツオちゃんを見送りイクラと一緒に歩く。

「イクラ、今日のご飯はアジよ。パパは早く帰ってくるといいわね」

「ハーイ、ハーイ」イクラが元気よく声を上げる。

 明日は彼と会う。彼に教える予定のサバの味噌煮、ハンバーグ、大根サラダの作り方を思い出す。料理を進める中での大事な所、注意点も合わせて思い出す。

 楽しさもあるが人から必要とされることの嬉しさ、使命感、義務感はいつもの主婦業で味わうものとは別種の感情だ。この欲望に近い感情にずっと触れ、味わっていたい。この感情は万能感をもたらしてくれる。たとえ、無価値で人様から後ろ指を指されようとも・・・・・・。
0132名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 01:06:03.00ID:3uV43OEZ0
ちょっとだけだがここまで
また明日書き込みます
0133名も無き被検体774号+ (スププ Sdfa-oXMj)
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2018/05/20(日) 12:19:42.42ID:oXF1/oUad
保守
0134名も無き被検体774号+ (アウアウオー Sac2-XkxN)
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2018/05/20(日) 17:50:24.32ID:gcNLhO/Sa
>>132乙!
読むの遅いけど読んでるよー
面白い!
0135名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 19:39:07.23ID:3uV43OEZ0
また書き込んでいきます
切りよく書き留められたので第四章の終わりまで書き込みます
0136名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 19:47:34.88ID:3uV43OEZ0
 サザエさん家に寄りイクラを預かってもらう。

「イクラちゃん、お庭で遊びましょう」タラちゃんがイクラに声を掛け庭に向かって走って行く。

「ハーイ」イクラも後を追い走り出す。

「では、サザエさんよろしくお願い致します。十六時前には戻るようにしますので」

「いいのよ、そんなに急がなくても。こちらは大丈夫だから。ノリスケさん、最近家事を手伝ってくれてるんですってね。マスオさんもお父さんも最近手伝ってくれるんだけど失敗してしまうことが多くて逆にすることが増えちゃうのよ」

「でも、ノリスケさんがしてくれたことってホントにちょっとだけなんで家事にもならないですわよ」早くこの会話を切り上げたい。
0137名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 19:49:10.36ID:3uV43OEZ0
「助かる時は助かるんだけどねぇ。あら、傘なんて持って今日は雨の予報だったかしら?」手に持つビニール傘に目を止める。

「いえ、この前に雨が降った時に友達から傘を借りたもので、行く途中で返すものです」

「あら、そうなの。どうぞ、気をつけて行ってきてね」

 サザエさん家を後にして駅へと向かい電車に乗り隣町に着く。すぐに化粧室に入り土曜日に彼から貰ったノンホールピアスを耳に付ける。よく似合っていると、そう思う。

 ピアスだけ付けて化粧は直さずに化粧室を出る。顔や爪先をベタベタ塗り固めるのは好きではないし、わざわざ化粧を改めて会う関係でもない。
0138名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 19:56:31.07ID:3uV43OEZ0
 今日、彼に料理を教えたらしばらくは会わないようにしなくては。毎週毎週二人だけで会えるような予定を作り、時間を捻出するのには無理がある。二週間に一度でも厳しい、一ヶ月に一度ぐらいの頻度で会うようにしなくては。

 この先のことを考えていたら彼のアパートに着く。チャイムを押すと前回と同じく尋ねる声もなく扉が開かれる。

「いらっしゃい、どうぞどうぞ」

「これ借りていた傘、ありがとうね」パンプスを脱ぎビニール傘を傘立てに入れる。

「いえ、雨は振らなかったんで大丈夫ですよ。プレゼントしたピアス付けてくれたんですね。ありがとうございます。凄い似合ってますよ」

「あら、そう?お世辞でも嬉しいわよ」
0139名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 19:57:55.91ID:3uV43OEZ0
「ホントですよ。食材、ばっちり揃えておきましたよ」

「分かったわ。じゃぁ、早速作り始めましょう」カバンを置いて手を洗い出す。

「今日もよろしくお願いします。頑張って失敗しないよう作りますよ!」

 冷蔵庫を開けて彼が揃えてくれた材料を確認する。

「サバ、合いびき肉、玉ねぎ、大根・・・・・・大丈夫ね」

「ええ、ちゃんとメモしてた食材は全部揃えましたよ」

 冷蔵庫を閉じてキッチンに置かれている調味料を見ていた時、パン粉の用意を伝えていなかったことに気付く。

「ハンバーグを作るのにパン粉が必要なんだけど、伝え忘れてたわ。買い置きはある?」

「パン粉はないんですよ。ないと結構、味は左右されます?」
0140名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:02:31.02ID:3uV43OEZ0
「パン粉が肉汁を吸ってくれるから焼いた時に肉汁が溢れ出ないし、ふっくらした出来上がりになるのよ。だからあったほうがいいんだけど・・・・・・」

「じゃぁ、ちょっと今すぐ買ってきます」

「大丈夫?この近くにお店かコンビニあった?」

「十分ぐらいですぐに行ける距離にあるので大丈夫ですよ。すぐに買ってきます」

「家にあるものだと思ってたから悪いわね、気をつけて。準備出来る分は少しだけ進めておくわ」

「ゆっくり進めてもらってて大丈夫ですよ。ちょっと、行ってきます」

 足早に財布を掴んで靴を履いて玄関から彼が出て行く。

 ハンバーグの材料を伝えた時に調味料関係のことも考えておけば良かった。
0141名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:04:20.04ID:3uV43OEZ0
 ひとまず、調理道具の用意や野菜の皮むきだけ進めておこう。サバの切り方や処理の仕方は直接教えるからまだ手を付けず、玉ねぎの皮をゆっくり剥いて彼を待とう。

 調理道具の準備と用意をし終えて取り出した玉ねぎの皮を剥いていた所で扉が開く音がする。

 出掛けてから戻ってくるまで随分と早かった。お店が意外と近くにあったのだろうか。彼のほうを観ると彼とは違う髪型、背丈、服装の男がそこに立っていた。年齢だけが彼と同じくらいだ。

「あれ、直貴は?あんただれ?」眉を釣り上げ、驚いた顔で言う。

「直貴さんは今買い物に行ってて、私は今日料理を教えにきたタイコです」自己紹介をして、頭を軽く下げる。
0143名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:06:28.18ID:3uV43OEZ0
「あっそお。彼女か。あいつ彼女いないって言ってたくせにいるじゃん。直貴はいつ戻ってくんの?」

 自分の説明はせずに靴を脱ぎ始めて上がろうとしている。恐らく直貴さんの知り合いの人なのだろうが失礼な人だ。

「あの、どなたですか、友達?あと私は彼女じゃなくてただ料理を教えにきた知人です」

 彼の茶色く染まり幾重もはねた髪の毛を見ながら伝えるも、王柄な態度で上がり込んでくる。

「俺もただの知人、直貴の友達の友達?ってやつ。ちょっと借りてたものがあって返しにきた所、これあいつに渡しといて」手に持っていたCDケースを渡してくる。

「ええ。分かったわ、もう戻ってくるから渡しておきます」
0144名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:12:27.07ID:3uV43OEZ0
 彼からCDケースを受け取り机の上に置く。この招かれざる客が早く出て行ってくれることを願いながら彼の目を見る。

「ああ、お願い。でさ、女友達でも料理だけ教えにくることってないでしょ。何?彼氏は?」

「ホントに料理を教えにきただけです。それに私結婚してるので」

 威圧的で反抗的な言葉遣いに、出す声に熱が入ってしまう。

「うわ、それって不倫じゃん。何、ヤってんの?」

「だから、ただの友達だって言ってるでしょ。もう失礼してもらっていいですか」

 決めつけて発言してくることに苛つく。どうして男と女という側面でしか人間関係を見れない人がいるのだろうか。
0145名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:20:07.99ID:3uV43OEZ0
 首からぶら下がったアクセサリーを見ていたらアクセサリーが揺れて接近してきた。いきなり男に手首を掴まれる。

「いいよ、隠さなくても飢えてるんでしょ。俺とヤろ。それとも3人でヤる?」

「ちょっとやめて離してよ、触らないで」

 掴まれた左手首を引っ張り、離そうとするが力が込められて振りほどけない。

「何?イヤイヤ言いながらヤるのが好きなの?」全身を舐め回すように見てくる。

「いい加減にしてよ、やめてって言ってるでしょ!」

 蹴り上げた右足が男の右脛辺りに直撃する。ジーパンのごわごわした感触が足先を伝う。

「痛ってぇな。何すんだよ!」いきり立つ怒声。
0146名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:27:00.30ID:3uV43OEZ0
 右手首も男に掴まれて両手首を顔の横に持ち上げられる。

「ちょっとふざけないで!やめてって」

 掴まれた両手首を振りほどこうと揉み合っていた所にまた、玄関の扉が開く音がする。

「すみません、お待たせしました」

 直貴が笑いながら息を切らして入ってくるが異様な光景に目を開く。

「ちょっと、助けて。この人が急に」

「おい、お前。何してんだよ、離せよ!」

 土足で走り込み直貴が男の手を掴み振りほどく。

「いやいや、ちょっと遊んでただけだろ」

「何が遊びよ。ふざけないで、急に掴みかかってきたくせに」声を荒げる。
0147名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:38:26.32ID:3uV43OEZ0
「お前何しにきたんだよ。迷惑かけんな、帰れよ」直貴が声を低めて言う。

「借りてた物を返しにきただけだよ。もう帰るよ、全く冗談が通じねぇんだから」

 男はバタバタと強く歩き、靴を履き乱暴に扉を開けて出ていく。

「タイコさん、大丈夫でしたか。何があったんです?」

「何もなかったわよ。CDを返しに来ていきなり手首を掴まれただけ。驚いたけれど大丈夫よ」深呼吸をして説明する。余計なことは言うも必要ない。

「あいつ友達の知人の晶ってやつです。無礼なやつですいません」玄関口に戻り靴を脱ぎながら謝罪する。

「直貴さんが謝る必要ないわ。あの人が悪いんだから、ホント失礼な人」

 横暴で怒りやすいあんな野蛮な人とはもう関わりたくない。無鉄砲で反抗的。あの男からはなんの良い印象も受けなかった。悪い印象だけが残る。
0148名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:40:20.26ID:3uV43OEZ0
「俺が前もって返してもらってればよかったんですよ、ホントすみません」

 同じ話をずっと続けていても仕方がない。あの男のことは考えないようにしよう。

「もう、良いわ。こんなことは忘れて料理を始めましょう。パン粉はあった?」

「ちゃんとありましたよ。これでハンバーグが出来ますね」

 玄関付近に落としたビニール袋を持ち上げて中から購入してきたパン粉を取り出してくる。

「じゃ、早速始めましょう。道具の準備と玉ねぎの皮しか剥いていないから」

 蛇口をひねりもう一度手を洗い直す。彼も続いて手を洗う。

「はい、お願いします。あいつにはあとできつく言っておきますので」

 嫌なことは料理に集中して忘れよう。彼と居れば忘れられるはずだ。
0149名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:42:20.97ID:3uV43OEZ0
「まずは玉ねぎを切るのとサバの下ごしらえを先にしましょう」

 砂糖入れの横にある菜箸を取った時、肘がみりんのボトルに当たり床に落ちる。床に落ちるのと同時にキャップが緩んでいたのか外れてみりんが跳ねてこぼれ出る。

 落ちたみりんから後ずさりして離れたが少し足に跳ねてしまった。

「あ、布巾、布巾どこ?」

「大丈夫ですか。今すぐ、拭き取りますよ」

 直貴が布巾を取ってしゃがんで私の足首に跳ねたみりんを拭き取る。

「少ししか跳ねてないから大丈夫よ。ごめんなさい、うっかりしてたわ」

 彼が私の足首に軽く何度か布巾を当てて水分を拭き取り、急いで手を動かして床のこぼれたみりんを拭き取り始める。
0150名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:44:46.72ID:3uV43OEZ0
「昨日使った時、ちゃんとフタを閉じてなかったんで・・・・・・すいません」

 直貴の黒い髪に覆われた後頭部とそこからうっすら見えるつむじ、シャツの襟から見える首筋とうなじがタイコの目に入る。目元を細めた印象的な様子も同じく目に入っていく。

 彼の全てが愛おしく感じる。優しさも、真っ直ぐでひたむきな所も、息を切らして走って帰ってきてくれたことも、目元を細めた真剣な顔の中にある悲哀を呈した表情も。存在そのものが愛おしく、狂おしい情愛が溢れ出す。

 立ち尽くしたまま思考が入ってこなくなる。無意識で、考えるよりも体が先に動く。同じようにしゃがみ込み直貴の肩に左手を置いて、潤んだ目で彼と三秒程見つめ合う。彼の顔に流れるように近づき唇を合わせる。
0151名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:46:39.75ID:3uV43OEZ0
 唇に触れるのが唇だけではなくなる。直貴の舌先を受け入れ、私の舌先を受け入れてくれる。

 初めてだった。こんなにも長くキスをして舌を絡めていたのは。男性とキスをしながら目を開けたのも。

 五分、十分いやそれ以上かそれ以下かも分からない。時間が私達二人だけを取り残して止まっていたように感じる。この先どうすればいいか分からないでただただ濃い接吻を続ける。いつの間にか左肩に置いていた手を離して床に置いていた。

 唇が痺れるような感覚と共に自分の唇の感覚がなくなる。直貴に這わせる私の唇と舌、直貴の這わせる唇と舌が混じり合いどちらがどちらのものであるか分からなくなる。口先を通して他者との一体感を初めて感じた。もはや異物ではなく以前からあったもののように錯覚する。
0152名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:48:05.76ID:3uV43OEZ0
 外から子供の甲高い声が聞こえてきた。子供の笑い声。一瞬イクラの顔がよぎるのと同時に甘いみりんの匂いを鼻で感じ取る。

 直貴から体を離して勢いよく立ち上がる。

「ごめんなさい、帰るわ」カバンをすぐさま掴み取り急いでパンプスを履き、扉を開けて走る。

「タイコさん!」直貴が何か叫んでいたが無視して走る。

 とにかく離れなければ。一緒に居たら理性がなくなり取り返しがつかなくなる。

 走り続けて駅が見えてきた所で小走りに変える。駅の化粧室の個室に入り込み鍵を掛けた壁にもたれかかって切らした息を整える。
0153名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:52:40.40ID:3uV43OEZ0
 内ももに何か這っている感覚がした。フレアスカートを下ろすとアソコから流れ出た愛液が皮膚の上をナメクジが這ったように垂れていた。

 初めてだった。こんなにもアソコが湿ってたぎる程、湧き出てきたのは。この濡れるということが肉体的なものではなくて精神的なものからくるということも。

 シたい。アソコに触れて今イきたい、早く頭から離れないうちに。指を股に入れ、這わせて触れる。

 何これ・・・ヌルヌル・・・。こんなに興奮していた事に初めて気付く。指に触れた部分が敏感に反応する。

「・・・はぁ、・・・はぁ、・・・ん、・・・あ」乳首が痛い。

 直貴を思い出す。直貴の声、直貴の顔、キスしていた時の顔、直貴の裸体、引き締まり筋肉の筋が浮いた体、弓なりに反った首筋。私を求め私と性交している姿をありありと思い浮かべる。
0154名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:53:19.88ID:3uV43OEZ0
 気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。「はっ・・・あ!」すごく、気持ちいい!

 床にしゃがみ込んで荒れた息を整えて宙を見ながら呆然と考える。イクラを迎えに行かないと・・・・・・。
0155名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 5adb-/w+O)
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2018/05/20(日) 20:59:35.49ID:3uV43OEZ0
第四章はこれで終わりです
ちょっと微エロ展開に挑戦した章でした

また書き留めたら後日書き込みます
0157名も無き被検体774号+ (ワッチョイW 4186-oXMj)
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2018/05/20(日) 21:08:04.42ID:cmechFK70
次も期待してるぜ
0158名も無き被検体774号+ (ワッチョイWW 0d11-XkxN)
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2018/05/21(月) 10:37:21.30ID:Qe18YuU+0
>>155乙!
0159名も無き被検体774号+ (アウアウカー Sa4d-JHA7)
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2018/05/22(火) 06:46:00.91ID:LN1HfuHRa
驚愕の事実拡散

創価の魔(仏罰、現証、非科学的な原始的発想)の正体は、米国が仕掛けてるAI

パトカーの付きまとい、咳払い、くしゃみ、芝刈機音、ドアバン、ヘリの飛行音、子供の奇声、これら全て、米国が仕掛けてるAIが、人を操ってやってる。救急車のノイズキャンペーンに至っては、サイレンで嫌がらせにする為だけに、重篤な病人を作り出す冷徹さ

集スト(ギャングストーカー、ガスライティング、コインテルプロ、自殺強要ストーキング)以外にも、病気、痛み、かゆみ、湿疹かぶれ、臭い、自殺、殺人、事故、火災、台風、地震等、この世の災い全て、クソダニ米国の腐れAIが、波動(周波数)を悪用して作り出したもの

創価の活動家は、頻繁に病気や事故に遭う。災難が続くと、信者は仏にすがって、学会活動や選挙活動に精を出すようになるから、クソAlが定期的に科学技術で災いを与える。モチベーションを上げさせる為の、起爆剤みたいなもん

ちなみに創価は、腐れCIA(米国のクソ諜報、スパイ)が日本統治に利用してる宗教団体

真実は下に

http://bbs1.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=pr02&;mode=view&no=46

https://shinkamigo.wordpress.com
0160名も無き被検体774号+ (アウアウカー Sa4d-JHA7)
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2018/05/22(火) 06:46:33.82ID:LN1HfuHRa
驚愕の事実拡散

創価の魔(仏罰、現証、非科学的な原始的発想)の正体は、米国が仕掛けてるAI

パトカーの付きまとい、咳払い、くしゃみ、芝刈機音、ドアバン、ヘリの飛行音、子供の奇声、これら全て、米国が仕掛けてるAIが、人を操ってやってる。救急車のノイズキャンペーンに至っては、サイレンで嫌がらせにする為だけに、重篤な病人を作り出す冷徹さ

集スト(ギャングストーカー、ガスライティング、コインテルプロ、自殺強要ストーキング)以外にも、病気、痛み、かゆみ、湿疹かぶれ、臭い、自殺、殺人、事故、火災、台風、地震等、この世の災い全て、クソダニ米国の腐れAIが、波動(周波数)を悪用して作り出したもの

創価の活動家は、頻繁に病気や事故に遭う。災難が続くと、信者は仏にすがって、学会活動や選挙活動に精を出すようになるから、クソAlが定期的に科学技術で災いを与える。モチベーションを上げさせる為の、起爆剤みたいなもん

ちなみに創価は、腐れCIA(米国のクソ諜報、スパイ)が日本統治に利用してる宗教団体

真実は下に

http://bbs1.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=pr02&;mode=view&no=46

https://shinkamigo.wordpress.com
0161名も無き被検体774号+ (アウアウオー Sac2-XkxN)
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2018/05/23(水) 23:01:30.52ID:XSjoJvbna
ほし
0162名も無き被検体774号+ (スププ Sd33-TNL7)
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2018/05/24(木) 18:38:08.72ID:iRhyf642d
保守
0163名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/24(木) 23:22:29.36ID:4LJpI+OF0
保守感謝
とつとつと書き留めておりますのでもうしばしお待ちを
0164名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 11:47:57.87ID:7rXzYp1F0
また書き込んでいきます
0165名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 11:51:22.70ID:7rXzYp1F0
第五章
 どうしよう。考えを巡らすが何をどうすればいいか分からない。もう直貴とは会えない。また会ってしまえばお互いに結びつき情事を最後までしてしまう。次はない、絶対にもう会わないと決めるが、どうしようもなく会いたいと、考えが矛盾する。

 昨日はイクラを迎えに行き帰宅していつもどおり家事を済ませたが、意識が遠のき何も考えられなかった。

 次で会うのを最後にすればいいのではないかと浮かぶがそんな甘い考えは許されない。次に会って肉体関係になれば、もっと直貴を知りたい、もっと直貴と一緒にいたい、もっと、もっと、ってずるずると不倫の道を歩む事になる。不倫にゴールはない。一度踏み入れれば最後。
どちらかが破滅するまで終わらない。キスをして彼を思って果てた時点で不倫ではないかという非難が頭の中でするが無視し続けている。
0166名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 11:58:19.48ID:7rXzYp1F0
 また、何の変哲もない日常に戻らなければ、そうすれば直貴との出会いは幻になる。いつもの家事をして料理をして家族の出来事に一喜一憂していれば、後悔や苦しさは薄れて平穏な毎日の日常に置換されるはずだ。

 一連の出来事は平凡な主婦が見た一瞬の夢。そう考え納得しようとするが直貴との様々な記憶が頭の中で浮かんでは消える――。

 いや夢なんかじゃない。ただの夢ならこんなに苦しく辛いはずはないのだから。

 納得出来る答えなんて浮かばないのに同じことを考え思いを何度も巡らすのに飽きてくる。
0167名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:09:32.61ID:7rXzYp1F0
 食事を終えてから机の上にあるチラシをずっとめくり続けていた。何回も何回も同じチラシを三分おきに表と裏を繰り返しめくり続けて、惑溺していたらいつの間にか十五時になっていた。

 昼寝をしているイクラを見る。毛布はかかったままで温かい顔で寝ている。

 今日の夜ご飯は何にしよう。味噌汁、コロッケ、ほうれん草のおひたし。あのまま帰った後、直貴が用意したサバやハンバーグの材料はどうなったのだろうか。とりとめのないことが浮かんできてしまう。忘れないと。

 チラシを片付け洗濯物を取り込もうとベランダに出ようとした時、電話が鳴る。恐らく直貴だ。確信に近い直感を抱き電話を取る。

「――はい。波野です」
0168名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:09:32.87ID:7rXzYp1F0
 食事を終えてから机の上にあるチラシをずっとめくり続けていた。何回も何回も同じチラシを三分おきに表と裏を繰り返しめくり続けて、惑溺していたらいつの間にか十五時になっていた。

 昼寝をしているイクラを見る。毛布はかかったままで温かい顔で寝ている。

 今日の夜ご飯は何にしよう。味噌汁、コロッケ、ほうれん草のおひたし。あのまま帰った後、直貴が用意したサバやハンバーグの材料はどうなったのだろうか。とりとめのないことが浮かんできてしまう。忘れないと。

 チラシを片付け洗濯物を取り込もうとベランダに出ようとした時、電話が鳴る。恐らく直貴だ。確信に近い直感を抱き電話を取る。

「――はい。波野です」
0169名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:14:41.62ID:7rXzYp1F0
「もしもし・・・・・・直貴です」くぐもった彼の声。

「・・・・・・・・・・・・」何を話そうかと考えるが浮かんでこない。何をどう伝えようか思い悩む。

「・・・・・・タイコさん、聞こえます?」声がはっきりとしてくる。

「ええ。聞こえてるわ。ダラダラ話して弁解をするのも駆け引きをするのもはっきりしない態度になるから、率直に言うわ。もうあなたとは会えない。次、会ってしまえばまた会うことになる。そのまま、お互いドロドロの関係になるから」

 よく考えることはせず、心の思うままに直接思いと気持ちを伝える。
0170名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:17:25.22ID:7rXzYp1F0
「そう――ですよね。本当は会う関係になれない、もう会うべきではないって俺も思ってるんですど。最後に直接会って話したい。料理を最後に教わるのでも、少し話をするだけでも会いたいんです。駄目ですか?」

 直貴の伝えようとすることは分かる。何事もなかったかのように会って料理だけを最後に教えることは出来るのかもしれない。前回の出来事はお互い、暗黙の了解でなかったことにして平穏な関係のまま終わらせたい。でも、きっと無理だ。
帰ろうとする段階になってお互いを求め、タガが外れるか嗚咽して泣くことになり二度と忘れられない情操を体験してしまい、心に刻まれてしまう。
0171名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:18:35.28ID:7rXzYp1F0
 その感情は喜怒哀楽といった単一的な感情の突出とは違う、水の中で何色ものインクが溶けて複雑に幾重にも折り重なって交わるようなもの。そんな感情体験をしてしまえば、お互いを忘れた平穏の日常に戻ることは出来なくなってしまう。

 麻薬をやめられない人や万引きをやめられない人の気持ちなんて理解出来ず分からなかったが、きっとその禁忌を犯す気持ちが私にも分かるようになってしまう。

 直貴と会いたいけれど会いたくない。話しをするだけでも想うことですらも許されない関係にまで進んできてしまっている。これ以上はもう引き返せなくなる。先にあるのはただの茨の道。もがき苦しんでもだれも助けてはくれない道。
0172名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:20:47.07ID:7rXzYp1F0
「ごめんなさい。私はあなたが私を思っているのと同じくらい辛く、苦悩しているわ。だからあなたの気持ちは分かるけど、無理。会うことはおろか、もう料理を教えることも出来ない関係なのよ」目元は潤むが何故か声はいつもと変わらず出る。

「・・・・・・分かりました。そうですよね、お互いのためにならないですから。もう話すことも電話もしません。タイコさんに教わった料理だけは忘れないようにします」

「ええ、ありがとう。――さようなら、直貴さん」

 聞く言葉、話す言葉に感情が追いついていかない。まるでテレビでも見ているような他人事の気がする。

「ええ、失礼します」直貴の声が最後に聞こえたのと同時に、ガタッという音が向こうでして何も聞こえなくなる。
0173名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:32:20.63ID:7rXzYp1F0
「――直貴さん? 聞こえる?」

 受話器を戻したつもりがしっかりと収まっていないのだろうか。電話が切れていない。

「電話、切れてないわよ? もしもし?」

 このまま切ってしまおうかと思ったが声がまた聞こえてくる。

「何だよ直貴、駄目だったのかよ。結局、次は会わねぇの、あの女と?」

 いや、直貴の声ではない。別の男の声。

「ああ、やっぱ断られちまった。次会ったらぜってぇヤれると思ったのに」陽気な直貴の声。
0174名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:39:36.35ID:7rXzYp1F0
「マジで残念だわー。めっちゃスタイルよくてタイプだったのに。直貴がヤッた後俺もヤりたかったわ」

 この威圧的に話す声は直貴の部屋に上がってきた晶とかいう男の声だと気付く。

「・・・・・・しょうがねぇよ、他の女探すわ。尻が軽い女なんて他にいくらでもいるんだからよ」

 信じたくない、思いたくはないが直貴の声だ。直貴と晶の卑猥な話しが受話器を通して聞こえてくる。

 聞いていたくない、聞きたくない。受話器を力任せに思いっきり電話機に叩きつけて電話を切る。大きな音に驚きイクラが目を覚ましてぐずりだした。泣き起きたイクラを抱っこしてあやす。
0176名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:51:22.02ID:7rXzYp1F0
 所詮、直貴にとって私との関係はただの遊びだったのだ。既に結婚している私に恋心のようなものなど求めるはずがない。料理を教えてくれて自分の体の欲求を満たしてくれる都合のいい女としか見られていなかったのだ。
絶望感や虚無感が襲ってくるが苛立ち、胸糞らしさも襲ってくる。どうしようもない程、哀れだ。

 直貴も憎いしそんな彼に惹かれて浮かれて思い悩んでいた自分に対しても憎らしい気持ち、滑稽感が込み上げてくる。

 一人で高まる熱に浮かれていたことが今更ながら恥ずかしくなる。ただ、非日常にボケていただけだったのだ。もう忘れよう、いや考えないようにしなければ。普段の毎日に浸り、頭の中に湧く嫌な思いを認知しないようにし続けて、忘れようと決心する。
直貴との関係は終わったのだ。


 私と彼、二人の物語はこれが最後で幕を閉じるはずだった。だけど、終わってなどいなかった。閉じたのは第一幕に過ぎなかったのだ――。
0177名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/26(土) 12:52:47.63ID:7rXzYp1F0
今日はここまでです
また明日、続きを書き込みます
0178名も無き被検体774号+ (アウアウオー Sa63-Bffi)
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2018/05/26(土) 15:40:29.72ID:I5gmr39aa
>>177乙!
お疲れさまです
0179名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:18:51.01ID:v8ZV0SQ+0
書き留めが終ったのでどんどん書き込んでいきます
ついに完結します
0180名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:23:47.52ID:v8ZV0SQ+0
 直貴と電話を最後にしてから二週間が経過した。家事をしていても三日間は直貴のことが頭の中にずっとちらついていた。その度に別のことを考え頭の中から存在を消し続けた。

 少しずつだが確かに普段の日常に戻ってきた。新鮮さというより味気なさのほうが強く感じる。心にしこりのように残っている気持ちはあるが徐々に薄れてきている。このまま行けばずっと思いにフタをしたまま、フタをしたそのものを忘れることが出来る気がする。
ノリスケさんやイクラとの一喜一憂する日々をこの先も過ごして行けるはずだ。

 誰でもない自分自身に言い聞かせてそう暗示する。

 平日、大きな公園に行きベンチから他の団地の子達と遊んでいるイクラを見守る。晴れやかな気持ちいい風に吹かれてとても気分が爽快になる。ハンモックでもあればそこでうたた寝でもしていたくなる陽気だ。
0181名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:25:24.90ID:v8ZV0SQ+0
 後方の少し先にある木々の中を見ると木漏れ日が幾重にも出来ている。とても綺麗な光景だ。その中の一本の木の陰に一人の男が隠れてこちらを見ていることに気付く。

 幾重にもはねた茶色い髪の男――晶だ。

 右目の下瞼がひきつる。とても嫌なものを視界に入れてしまった。折角の心地よい気分が消え失せる。せっかく時間と手間を掛けて作っていたシチューにゴキブリが入り台無しにされた気分だ。嫌悪感と同時に怒り、腹立たしい気持ちが募りだす。

「ごめんなさい。ちょっとお手洗いに行ってくるわ。イクラを見ていて頂いても大丈夫かしら?」

 立ち上がりながら隣のベンチに座っていたママ友に伝える。
0182名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:27:43.81ID:v8ZV0SQ+0
「ええ、大丈夫よ。トイレの看板があったから矢印の方向にトイレはあったはずよ」後ろの一本道のトイレの看板に視線を送る。

「ごめんなさいね、すぐ戻りますから」足早に歩き一本道に入る。

 晶を横目で見ながら舗装されていない一本道を晶に近づくように早歩きで進む。

 私が近づいてきていることを晶が分かると、踵を返して木々の奥の方に入っていく。何度も後ろを振り返り、私がついてきているのを確認する。人目につかない所に行くつもりなのだろう。彼と二人きりで対峙する怖さや恐れはない。
それ以上に苛立ち、気分の悪さのほうが上回っている。
0183名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:29:58.11ID:v8ZV0SQ+0
 人通りがなくなってきた所でけもの道から外れ、直接彼の後ろを歩き追いかける。距離にして約二十メートル、早歩きで彼との距離を縮めていく。彼を見失わないか心配であったが少し歩いた所で彼が立ち止まり私のほうに振り返っていた。

 辺りに木々が点々と生え、木で作られた簡易的なベンチが所々に点在している。人気はないが全く人がこないという場所でもない。人目に付く前に早く話を付けて追い返し、戻らないと。

 彼に近づくなりまくしたてるように喋る。

「何、何の用なの? 気持ち悪い。直貴から電話があった後、電話が切れてなくてあなたと直貴が話す会話を聞いたわ。もう関わるつもりはないからさっさと消えて――」

「違う。別にあんたをひかやしに来たのでも誘いにきたわけでもねぇよ。ただ聞いてほしいことがあって・・・・・・」最後まで話す前に遮られ、真剣な眼差しを向けてくる。
0184名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:31:44.05ID:v8ZV0SQ+0
「その前になんで私がこの公園にいるって分かったの? 直貴に住所は教えてなかったわよ」

 聞いてほしい話しがあろうとなかろうと私には関係ない。ただの作り話しか嘘としか思えない。両手を組み、まず頭の中にある疑問をぶつける。

「俺、新聞の印刷所で働いてて印刷し終わった新聞やチラシを配達所に届けることがあんだよ。それで、配達して事務所に誰もいない時さ、あんたの名前からあんたの住所を調べたんだ。それで、あんたの家には直接行かず周辺の行きそうな所を見て回ってたんだよ。
そしたら公園の中に入っていくのを見たから――」

「私の場所を知ったわけは分かったわ。それで、私になんの用なの?」
0185名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:33:27.42ID:v8ZV0SQ+0
 早く話しだけを聞いて罵倒して追い返したい。彼は真面目な表情を作ってはいるが騙されないように男を睨みつける。

「俺と直貴が話してた内容は嘘なんだよ。直貴がわざと電話を切らないで、電話をする前に決めていた話をしてさ、あんたを騙したんだ」

「何言ってるの? なんでそんな嘘を付いったってのよ?」彼の話した内容に驚く。

 彼の言うことを信じようとしたが、ただの嘘なのではないかと勘ぐる。

「あんたと別れるためだよ。俺、アンタと直貴がキスした話を聞いたよ。直貴はあんたのこと好きでいたけどもう会うわけにはいかない、あんたの家庭を壊してしまう、俺もタイコさんも壊れてしまうって。だから嘘をついてもう会わないようにするため、わざと悪役になったんだ」
0186名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:35:05.16ID:v8ZV0SQ+0
 言っていることに真実味は感じられるが半信半疑だ。もし本当にそうだとしたら何故わざわざ言いにきたのだろうか。

「もしその話が本当だとして、どうしてわざわざ私に言いにきたのよ?」

「本当は言うつもりなんてなかったよ・・・・・・。直貴が最後に電話した時、ホントはあんたともう会うつもりなんてアイツにはなかった。でもアイツ、電話が切れたのを確認した後、体を丸めてむせび泣いてさ、本当に苦しそうだった。本当に愛してたんだなって思ったよ。
まるで、家族や大切な人が死んだみたいに泣いててさ、あんな姿初めて見た」

 正直に真面目な表情で私に語りかける。王柄な態度からは想像が出来ない真剣さだ。この単純で短絡的な性格の人が私を騙すためにこんな嘘の演技が出来るとは思えなかった。彼が告白したことは本当なのだろう。
0187名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:37:07.16ID:v8ZV0SQ+0
「直貴のホントの気持ちをあんたは知っておいたほうがいいって思ってよ。直貴の気持ちを誤解されたままにしておきたくなくて――だから言いにきた。それにあいつ明日で引っ越すんだよ」

 彼がわざわざ私の所に来てまで伝えたかったことは分かった。直貴の性格を考えればあの電話の内容は今、彼が言った真実で納得がいった。

「引っ越すって、どこに?」

「地元に帰るって。元々、こっちに出てきたのは技能を磨くためで、ある程度力をつけたら帰るつもりだったって。ずっと町にいるのはよくない、別れてもまたどこかで会えるかもって、一瞬でもあんたの顔を見ることあがるかも知れないからって。
もしそうなったら、俺もあんたも辛いからって言ってた」
0188名も無き被検体774号+ (ワッチョイ 13db-HY9j)
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2018/05/27(日) 14:38:47.56ID:v8ZV0SQ+0
 涙腺がゆるみ出す。やはり、私と直貴は同じ気持ちだった。

「そう・・・・・・でも、もう直貴とは終わったの。彼に別れの言葉は電話でしたから」湿った声を出さないように落ち着いて伝える。

「直貴と直接会って最後の別れを言えよ。それであいつも踏ん切りがつくか――」

「踏ん切りなんてつくわけないでしょ! お互いに泣いて、今よりももっと苦しく辛くなるだけよ。直貴がわざわざあなたとそんな演技をしてまで私を騙したのは、直接別れ話をして普通に別れるのが辛かったから。もう二度と接点を持つことがないようにするためだったのよ」

 どうしようもない心苦しさ、哀しみが込み上げて私の心の中を支配していく。感情を抑えて話すが全ては抑えきれず熱い感情が漏れてしまう。
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