米司法省は21日、米アップルを反トラスト法(独占禁止法)に違反した疑いで提訴した。主力製品であるiPhoneなどにおける寡占的な地位を乱用し、公平な競争環境を阻害したと判断した。
東部ニュージャージー州の連邦地方裁判所に訴状を提出した。アプリストアへの出店に課す高額な手数料を問題視している。対話アプリや決済サービスで競合を締め出す行為があるとも指摘した。
2021年に発足したバイデン政権は、グーグル、フェイスブック(現メタ)、アマゾン・ドット・コムの米3社を独禁法違反の疑いで司法に訴えた。今回のアップルへの提訴で、米国を代表する巨大IT(情報技術)の主要4社がそろって対象となった。
ガーランド司法長官は声明で「アップルをこのまま放置すれば、独占を強めていく。司法省は価格の上昇と選択肢の減少から、消費者を守る」と強調した。アップルは日本経済新聞に「この訴訟が事実上も、法律上も間違っていると信じている。(米司法省に)強く対抗していく」とコメントした。
アップルを巡っては、米欧で包囲網が広がる。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会も4日、18億ユーロ(約2900億円)の制裁金を科すと発表した。音楽ストリーミング配信市場で同社による支配的地位の乱用があったと判断した。
21日の米株式市場でアップルの株価は一時、前日終値に比べて約4%下落した。
バイデン政権は巨大IT企業の寡占状況の是正に積極的な姿勢を示してきた。11月の大統領選を前に、中小企業や労働者を重視していることをアピールする。
司法省は声明で「スマホの乗り換えが困難になり、アプリや製品、サービスのイノベーション(技術革新)を損なっている。開発者や企業、消費者には異常なコストを課している」と説いた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN210CH0R20C24A3000000/