ガザ病院爆発で激しい「情報戦」 中東は「事実」置き去りで世論沸騰

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 これに対し、イスラエルは18日、現場となった病院の衛星画像や無人機(ドローン)で撮影した空撮画像をネット交流サービス(SNS)で相次いで公開し、通常の空爆でできる大きな穴がなかったなどと指摘した。

 ハマスのメンバーが爆発直後に「ミサイルがこんなふうに落ちるのは初めて見た。(ハマスに近い過激派組織)『イスラム聖戦』のものだろう」「病院の後ろの墓地から撃ったが、不発だった。彼らの上に落ちた」などと話したとされる通話の録音記録と英語の書き起こしも公表。イスラム聖戦によるロケット弾の誤射だったと結論づけた。

 さらにイスラエル軍は18日、SNSに「情報戦は危険だ。とくにテロ組織の手によると」と投稿し、「ハマスのうそは野火のように広がった。メディアも彼らの武器の一つだ」と訴えた。

 真相はどうだったのか。英BBCテレビによると、爆発は17日午後7時ごろに発生した。画像の分析や記者の現場取材では、爆発があった病院の駐車場付近では建物に激しい被害は見当たらず、大きな穴も見つからなかったという。BBCは「結論づけるだけの証拠はない」としつつも、「弾頭の爆発ではなく、ロケット弾の燃料による炎上だった可能性がある」との専門家の見方を伝えた。

 しかし、中東では発生直後からイスラエルに対する怒りに火が付いた。原因調査を待つことなく、レバノンやヨルダンなど各地でイスラエルに対する抗議デモが発生。治安部隊との衝突も相次いだ。アルジャジーラも18日時点で、イスラエルの主張を報じつつも、空爆だったことを前提にした報道を続けている。【カイロ金子淳】

https://news.yahoo.co.jp/articles/036a762d3460189b68e8aa9bd5b9cc51f2f1ae7e