「神社で柏手を打ってはいけない」納得の理由

昔は「合掌」して参拝していた
https://president.jp/articles/-/30958?page=3
合掌が、神社で祈るときの基本的な作法だったということについては、はっきりとした理由がある。その理由について見ていく際に、忘れてはならないのは、明治時代以前、つまりは、日本が近代社会に入る前には、日本人の宗教世界において「神仏習合」が基本的なあり方だったということである。

明治に入る際、明治政府のなかには、神道を国家の基本に据えようとする国学者や神道家が含まれていた。彼らは、外来の宗教である仏教を嫌い、神道を仏教の影響下から引き離そうとした。具体的には、明治元年に太政官だじょうかん布告という形で、「神仏判然令」が出された。神仏判然令はいくつかの布告からなるもので、これによって「神仏分離」が推し進められた。

神仏分離とは、神道と仏教、神社と寺院を引き離す試みである。これによって、神社に奉仕していた僧侶は還俗げんぞくしなければならなくなり、仏像を神体とすることも禁じられた。その結果、神社の境内にあった仏教の寺院は破壊された。神仏分離は、仏教を排斥する「廃仏毀釈」に発展したのである。

ちなみに中国では、歴史上幾度となく廃仏が行われた。朝鮮半島でも、儒教を重視する李氏朝鮮の時代には、仏教は圧迫された。