文春オンライン 2023/9/3(日) 11:12
https://news.yahoo.co.jp/articles/d77669971912aa19c760236d37520aa3f82fc6e7
過去最悪の“犯行予告”事件の容疑者が検挙された。
警視庁は8月23日、威力業務妨害容疑で無職の大熊翔容疑者(26)と東京農工大大学院生の佐藤直容疑者(22)を逮捕したと発表した。
「2人はネット経由でファックスを送るサービスで嘘の殺害・爆破予告を送りつけていました。全国の学校や自治体や企業に今年5月までに寄せられた殺害・爆破予告は実に30万件。
その際に『唐澤貴洋』なる実在の弁護士を名乗っていた」(警視庁担当記者)
被害者側からは当然、弁護士宛に電話が殺到したが、この2人、個人的な恨みがあったわけではなさそうだ。
実は唐澤弁護士は、10年以上前からこうした嫌がらせを受けているネット界隈の有名人なのだ。
◼「恒心教」を広めるためにやったと供述
「2人は唐澤氏に嫌がらせをする同好の士が集う『恒心(こうしん)教』を広めるためにやったと供述している」(同前)
恒心教とは聞き慣れない名前だが、由来は2012年頃まで遡るという。
ネットに詳しい関係者が明かす。
「唐澤弁護士が同年に『2ちゃんねる』での炎上被害者からの依頼を受けたのがきっかけです。
加害者の矛先が唐澤弁護士に向き、トラブルと無関係の人まで面白半分に参戦して弁護士への誹謗中傷が激化。
加害者のいわばサークルは唐澤氏の当時の所属事務所名『恒心綜合法律事務所』をもじり、宗教団体を模して『恒心教』と名乗り、いまも嫌がらせをしています」
◼警察が犯人のリアルな立ち寄り先を見つけた方法とは
単なるいたずらと侮るわけにはいかない。
2人の逮捕発表の翌日には警察庁の露木康浩長官が定例会見でわざわざこの事件について、「この種の事案が社会生活に与える影響は決して無視できない」と言及した。
“犯行予告”に特化した統計はないが、30万件がいかに「天文学的数字」かは、全国の警察への相談件数が年間200万件余りなのを考えれば一目瞭然だろう。