平等院「失われた技術」再現成功 鉄に金メッキ装飾

京都府宇治市の平等院は9日、鳳凰堂の鉄製金具で見つかった金メッキの痕跡を分析した結果、同様の金具(長さ約19センチ、高さ約4センチ)を再現できたと発表した。平等院によると、古い時代の技法で鉄に金メッキを施した作品例は知られていないが「技術的に不可能ではないと証明され、平安時代の失われた技術を再現できた」としている。

2020年、鳳凰堂内で装飾品をつり下げる鉄製金具の表面に、金メッキの痕跡が見つかった。分析すると水銀も検出され「アマルガム鍍金」と呼ばれる古い技法が使われた可能性が浮上した。この技法で銅や青銅、真ちゅうなどに金メッキを施した例はあるが、金は鉄にくっつかないとされていた。

そこで実際に可能かどうか再現を試みた。実物と同じ大きさの鉄製金具を、銅の成分が含まれる液体で洗うなどしたところ、金メッキが?がれない安定した状態の金具が再現できた。銅の成分が有効に作用したとみている。

再現を指導した京都国立博物館の久保智康名誉館員は「古代の鳳凰堂で使われた技術である可能性が限りなく高まった」と話した。

再現金具を展示する夏期特別展は9月3日まで平等院ミュージアム鳳翔館で開かれている。〔共同〕

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF0999W0Z00C23A6000000/