国指定天然記念物となっている山形県酒田市・飛島のウミネコ繁殖地のうち、一部の場所で繁殖が確認されていない状態が続いている。
野生化したネコがウミネコを襲い、巣作りできないのが一因だ。市は今後、繁殖地の再生に向け、専門家らの意見を聞いた上で対策を検討する。(中田隆徳)
【写真】百合島で育つウミネコの親子(5月27日)
ウミネコは日本近海で見られるカモメの仲間で、例年、11月から2月にかけて飛来し、8月には島を離れる。この間に島内で繁殖が行われ、
5月下旬にはヒナたちがすくすくと成長する。
県内では、島南部で定期船発着所の南東にある館岩や、砂浜近くの百合島、飛島の西約1・6キロ・メートル沖合の御積(おしゃく)島などが、
繁殖地として国の天然記念物に指定(1938年12月)されている。
しかし、環境省の調査によると、館岩では2009年に173か所で巣作りが確認されたが、14年と19年は確認できなかった。
原因として挙げられているのが、野生化したネコに捕食される被害だ。
館岩は、飛島と地続きで、港を一望できる人気の観光スポットだ。遊歩道が整備されていて、かつては、ウミネコの繁殖を近くで見られたが、
野生化したネコも、この遊歩道を通って館岩のウミネコ繁殖地に侵入したとみられている。
(写真:読売新聞)
市は、ネコがウミネコを脅かすようになった理由として、漁業者が減り、捨てられる魚が少なくなったことなどが考えられるとしている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/214d4de8b5855a7fa6f98dcfaf9640f1ba5a251c