同じようにベースマネーを増やしてきた日米のインフレ率に差が生じるワケ
(1)「借金」に抵抗がない米国の国民性

みんなが疑問に思っているのは、日米がほぼ揃ってベースマネーを盛大に増やしてきたのに、なぜ、米国のみがこんなにインフレが高まって、日本のインフレ率は
少し上がってきてはいるものの2%にすら至らないのか、そこだろう。

端的に示すと、国民性の違いである。ベースマネーとは日銀が銀行に供給するお金のことだ。さらに経済にとり重要なのはトータルマネー(=ブロードマネー)で、
現預金通貨に譲渡性預金、信託、国債、外債などを含めた、銀行がつくっていくお金である。日銀がいくらベースマネーを増やしても、トータルマネーが増えなければインフレにはならない。

要は日本国民が優等生すぎて、ベースマネーが増えてもお金を借りなかったのだ。それどころかどんどん借金を返していった。一方、一般的な米国人はベースマネーを
増やしたら、すぐに借金に走るわけだ。米国企業も同じで、お金を貯ためずに借金をする。

(2)「借金」は一刻も早く返済したい日本の国民性

現在の局面においてもそれは変わらず、米国企業の債務は増えている。相変わらず銀行からお金を借りては、自社株買いに勤しんでいる。

かたや日本の民間企業の債務は、どんどん減り続けている。借金を返し続けている。これを経済用語では「デレバレッジ」という。つまり日本企業は1990年代のバブル崩壊以降、
ずっとデレバレッジしてきて、いまも依然としてデレバレッジしている。

このような状況ではトータルマネーはさほど増えない。トータルマネーが増えるためには、市中銀行が日本企業や日本人にお金をどんどん貸し出さなければならない。
信用創造でお金をつくらなければならないのだ。

この概念は理解しにくいのだが、お金をつくっているのは中央銀行ではなく、誰かの借金によって、信用創造が行われているということだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/893a704dfb092680e49e6d50d023862609e0a31e