諫早湾干拓巡る訴訟、開門命令「無効」が確定…20年にわたる法廷闘争が決着

 長崎県の国営諫早湾干拓事業を巡り、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決を「無効」にするよう国が求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は1日付の決定で、開門を求めた漁業者側の上告を棄却した。開門命令を無効と認めた差し戻し後の福岡高裁判決が確定した。約20年間にわたり、開門の是非が争われた法廷闘争は「開門せず」で司法判断が統一され、事実上、決着した。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230302-OYT1T50147/

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菅直人の上告見送り
菅直人はかねてより自由民主党が推進していた本事業を「無駄な公共事業」として強く批判しており、政権を取る前にも市民運動家やテレビカメラを伴って水門に押しかけ、水門をただちに開けるよう要求するなどの行動を取っていた。2009年9月に民主党政権が誕生すると、翌2010年4月に民主党の検討委員会は「開門調査を行うことが適当」という見解をまとめた。同年6月に内閣総理大臣に就任した菅は、同年12月15日、国が敗訴した福岡高裁判決について上告を断念すると表明した。
これに対して中村法道長崎県知事は「国営事業として進められたのに(地元に)一切相談・報告がなく、報道で初めて聞いた。大変遺憾だ」として不快感を示した。政府内でも福岡高裁判決はあまりにも一方的であるとして上告する意見が大勢であった。諫早市長の宮本明雄(当時)や仙谷由人官房長官(当時)、鹿野道彦農林水産大臣(当時)が説得を試みたが、菅は「私が決断したことだ」と意見を変えず高裁判決を確定させた。
長崎県議会・諫早市議会・雲仙市議会・大村市議会・地元商工団体・農業関係者は、菅の判断に対する抗議の決議書を提出した。産経新聞は、菅のこの判断により諫早湾干拓事業の問題が混迷化したと批判した。諫早市長の宮本明雄は、判決確定の直前に長崎県知事の中村法道や地元住民代表らを連れて、首相官邸に菅を訪ねて陳情に行ったが、問題に精通していると自認していた菅が、実は問題に精通しているどころかほとんど何も理解していなかったと述べ、菅首相の「私なりの知見」に基づく独断と暴走が問題をこじれにこじれさせていると批判した。
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