島の南西部を訪れると、「グランドマザー」と呼ばれる古木に出合える。最も古い幹は1600年前のものと考えられており、3本の幹が融合したその姿は、まるで巨大な壺のようだ。
ギャラリー:マダガスカル島のバオバブに迫る危機 写真13点
グランドマザーはバオバブの木だ。バオバブが世界中の人々から愛される理由は、樹齢の長さだけでなく、その特徴的な樹冠にある。
バオバブの木のてっぺんからは、まるで感電した髪の毛のように、あるいは場所を間違えて生えた根っこのように、モジャモジャとした枝が伸びている。神々が逆さまに植えた木との伝説があるのはそのためだ。
「バオバブの幹に近づくと、何か力強いものを感じます」と語るのは、この記事の写真を撮影したウィリアム・ダニエルズ氏。「それは良きものを感じさせるエネルギーなのです」
しかし、バオバブは今、危機に直面している。2018年にはアフリカ南部でとくに古く、とくに大きいバオバブが次々に枯れていることが学術誌に報告された。
2021年の研究では、バオバブは気候変動に対して脆弱であり、バオバブ属のうち4種が今世紀中に生育できる地域を大幅に失う可能性があるとの予測が出された。そこにはグランドマザーの種も含まれている。
科学者らはまた、バオバブの森の喪失が、そこに生きる動植物にどのような影響を与えるのかについても評価を進めている。
バオバブは、生態系において重要な役割を果たす「キーストーン種」だと考えられている。キーストーン種が減少すれば、その変化は生態系全体に影響を及ぼす。
いかそ
https://news.yahoo.co.jp/articles/8a77292cc52c1d5f86e7ce191d4e0125216f67a9