暮れも押し迫り、正月の準備に精を出す家庭も多いはず。しめ縄に縁起物を付けた「しめ飾り」を玄関先に飾るのは正月ならではの風景だが、実は近年、
市販品の大半には中国産の〝雑草〟が使われているという。全国で「しめ縄プロジェクト」を主宰する国際教養振興協会代表理事の東條英利氏(50)はこうした現状に警鐘を鳴らしている。

【写真】重さ200キロ、成田山新勝寺で行われるしめ縄作りの様子

「スーパーなどで売られている正月のしめ飾りの大半は、中国産の『水草』で作られている。日本の伝統を外国産に頼っているのが実情だ」と東條氏が説明する。

正月飾りを製作している国内企業の社長は「商品の8割は中国産」と明かす。「少子化で正月飾りの地域色は急速に失われている。作業はすべて手作りだが、
担い手も高齢化して減っている」と苦しい事情を話す。

大手ホームセンターでもコスト面などから自社ブランドの正月飾りの大半は「中国から完成品を輸入している」という。

国内では塩化ビニール製のしめ縄を使用する大きな神社も出ているといい、東條氏は「10年は劣化しないが、その10年でしめ縄を作ってきた技術や、
奉納してきた氏子と神社の絆も失われてしまう」と話す。

東條氏によると、日本の正月は初日の出とともに到来する、稲の実りを示す「穀物」の神「年神(としがみ)様」を家々に迎え入れる習慣で、米作りと深い関わりがあるという。

「問題は外国産ということより、むしろ稲わらが使われていないことだ。水草とはいわば雑草。豊作の神様を雑草で迎えるなんて中身がない。このままでは
日本の正月文化は形骸化して、なくなってしまう」と危機感を示す。

https://news.yahoo.co.jp/articles/86687897771609c324d8a4d1ca79d0203f5a70ad