イラスト発注サイト「Skeb」で発生した大規模障害への対応をめぐり、IT関係者を中心に驚きが広がっている。
Skebは米Salesforce傘下が提供するクラウドサービス「Heroku」にサーバとシステムを設置していたが、何の前触れもなく利用が停止された。
サイトが閲覧できなくなり、サポート窓口に問い合わせるもなしのつぶてだった。
Skebの運営会社は、影響を最小限にするため、別のクラウドサービスへの移管を決意。
昼夜に及ぶ作業により一日足らずで完了させ、無事に復旧にこぎつけた――。
もっとも障害で1500万円相当の機会損失となり、「Herokuのこのような対応は大変遺憾です」と表明している。
アカウント停止は青天の霹靂
Skebを運営するスケブ(東京都港区)は2022年12月24日、前日から起きていたアクセス障害の一部始終を公表した。
23日12時22分にスケブが閲覧できなくなり、5分後に障害と認定した。
30分に利用者に「繋がりにくい状態が発生しております。原因を調査中です。ご迷惑をお掛けいたします」とツイッターで報告し、
併せて「Heroku」の日本代理店であるセールスフォース・ジャパン(SFJ)に連絡した。
障害発生時刻から、同サービスが突然利用できなくなったためだ。
SFJからはHerokuのサポート窓口に問い合わせるよう指示されるも、応答はなかった。13時4分にSFJにその旨を伝えて状況確認を依頼した。
13時14分にはHerokuの復旧時期が未定のため、利用中止を決断。別のクラウドサービスへの移管作業を始めた。
利用者にも周知を図った。14時19分にクラウドの移管とその事情を明かし、「早ければ本日中、遅くとも明日中に復旧できる見込みです」と再開時期を明示した。
障害でメールマガジンも配信できなくなり、ツイッターとブログで案内した。
ツイッターで「Skeb」を含むツイートや検索をした人には、障害情報が表示されるよう「プロモツイート(広告)」も出稿した。
その後の対応
15時14分には、新しいクラウドサービスにデータベースの移管が完了した。
それから3時間後にSFJから連絡があるも、Herokuの担当者からは音沙汰がないと告げられた。
20時24分にクラウドサービスのステージング環境が、翌24日の早朝4時32分には本番環境の構築が無事に完了。
4時55分にドメインの接続先をHerokuから新クラウドに切り替え、7時までに動作確認を終えた。
13時になり、ようやくユーザーに復旧を知らせられた(完全復旧は26日午前)。
スケブでは月間約5億円の取引高があり、今回のトラブルで1500万円相当の機会損失が発生したという。「事実上今回が初めての大規模障害」と説明している。
26日昼時点でHerokuから詳しい説明はなく、
「夜間も親身にご対応いただきましたセールスフォース・ジャパンのご担当者さまには感謝いたします」とするも
「厚いサポートを謳うHeroku Enterpriseにも関わらず、Herokuのこのような対応は大変遺憾です」と言及している。
Skeb、大規模障害で1500万相当の機会損失 クラウドサービスから突然の停止措置...サポートに連絡も音沙汰なく「大変遺憾」
https://www.j-cast.com/2022/12/26453374.html?p=all