「小学生の娘はこの夏、性暴力を受けました」 告白決めた父の真意

https://news.yahoo.co.jp/articles/dd0ca50824ff252f435312cd03dc4fee5de855e5

その見知らぬ男性の指示で下着を脱ぎ、スマートフォンで下半身を撮影された。小学生の娘はこの夏、「魂の殺人」とも呼ばれる卑劣な性暴力を受けた。警察や自治体は女児への配慮から詳しい被害内容を公表せず、マスコミも具体的な表現を避けて報道した。「事件の本質がオブラートに包まれてしまうと、被害者の深刻な苦しみが届かない」。そんな思いで取材を自ら希望した父親の叫びを伝えたい。

【写真】性暴力の「沈黙の闇」切り裂いたフラワーデモ

 ◇図書館から帰宅途中に

 うだるような暑さだった7月28日、時計の針は門限の午後5時半を過ぎていた。間もなく帰宅した女児は、リビングルームにいた父親に駆け寄って号泣した。「さっき連れて行かれて、お尻触られてん」

 夏休み中だったこの日午後、読書が大好きな女児は友達と大阪府内にある図書館に出かけていた。

 事件に巻き込まれたのは午後5時過ぎだった。友達と別れて1人で自宅に向かっている途中、背後から尻を突然つかまれた。振り向くと、立っていた面識のない若い男性にこう言われた。「ちょっと歩こうか」

 女児は恐怖心と必死に闘いながら、勇気を振り絞って尋ねた。「わたし、おうち帰れますか」。約500メートル先の人けのない民家のガレージ前に案内されると、男性に「今から写真撮るからパンツずらして」と指示された。

 ここで暴れたり、声を出したりしたら何をされるか分からない――。そう何度も自分に言い聞かせて、女児が自分でズボンと下着をおろすと、男性はスマホで撮影を始めた。さらに女児を近くの駐車場まで連れ出し、再び撮影しながら下半身に手も伸ばしたとされる。「このこと、内緒やで」。男性はそう言い残し、現場から立ち去った。

 ◇被告「交際相手と別れ、小学生に興味」

 強制わいせつ罪などで逮捕、起訴されたのは堺市立の特別支援学校で講師を務めていた古谷尚暉被告(26)=懲戒免職。古谷被告は10月の初公判で起訴内容を全て認めた。

 検察側によると、古谷被告は捜査段階で「交際相手と別れ、小学生の女の子の裸に興味を持ち始めた」と供述。インターネット上の動画で満足できず、性犯罪に手を染めるようになったとも説明した。

 事件後、女児は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。外出先で成人男性を恐れ、悪夢にうなされることも増えた。父親は体重が7キロ減り、母親も強いショックから立ち直れないでいる。