がんが「消失」、「塩基編集」を用いた画期的治療で イギリス
https://news.yahoo.co.jp/articles/355b14bac3ee7e8cd7b4df0e07f1658e32002f89

ジェイムズ・ギャラガー、健康・科学担当編集委員

不治のがんを患っていた10代の少女が、画期的な治療を受けたところ体内のがんが消失したという。英ロンドンの病院が明らかにした。

イギリス・レスターに住むアリッサさん(13)は昨年5月、T細胞急性リンパ性白血病と診断された。

T細胞とは本来ならば、人体にとって脅威となるものを特定して破壊する、人体を守る存在だ。しかし、アリッサさんの場合、そのT細胞が暴走していた。

これまでに化学療法や骨髄移植などあらゆる治療法が試されたが、いずれも効果はなかった。

しかし今回、ほんの数年前までは考えられなかったことが、遺伝学の驚異的な進歩によって可能になった。

グレート・オーモンド・ストリート病院の医師と科学者からなる大規模なチームは、わずか6年前に発明された「塩基編集」と呼ばれる生物工学の技術を使い、アリッサさんを治療した。

治療から6カ月が経過し、がんは検出されなくなったが、再発に備えて経過観察が続いている。

この実験的治療法がなければ、アリッサさんのためにできることといえば、可能な限り快適に過ごせるようにすることしか残っていなかった

「私は最終的に、息を引き取っていたと思う」とアリッサさんは言う。母親のキオナさんは昨年の今頃は「これが娘と過ごす最後のクリスマスになるのかと考え」、クリスマスが来るのが怖くてたまらなかったと振り返った。1月に娘が13歳の誕生日を迎えると「ただただ泣いていた」と話した。