干潟で朝ヨガ ~ヒメヤマトオサガニ~ <沖縄・海の生き物たち Vol. 57>

◇白い両手のハサミで「バンザイ」しながら食べているのは…

漫湖の干潟はカニの世界。マングローブの林の下には、片方のハサミが大きいシオマネキの仲間がたくさんいます。でも、この干潟で一番数の多いカニは、もっと広く開けた場所にいます。水が薄く残った泥干潟をよく見ると、白い両手のハサミをよいしょーっと高く持ち上げる小さなカニがいませんか?…しかも、とてもたくさん!これが、ヒメヤマトオサガニです。

このカニ、両手を持ち上げる仕草がとても特徴的で、日本人の研究者が学名に「バンザイ」という名前をつけました。ちなみにバンザイをするのはオスだけ。自分の存在を周りに主張しているのでしょうか。

バンザイを繰り返しながら食べているのは、干潟の泥に混ざる有機物です。シオマネキの仲間も有機物を食べますが、彼らはヒメヤマトオサガニよりも少し泥が乾いた固いところが好き。例えるなら、シオマネキの仲間が食べるのは普通の「じゅーしーご飯」で、ヒメヤマトオサガニは柔らかいおじやのような「ぼろぼろじゅーしー」という感じでしょうか。

さらにヒメヤマトオサガニは、水に浸かって目だけを水面に出しながら、両手のはさみで口の方に泥水をかき込むような食べ方もします。これはきっとスムージーですね。カニによって好みの泥が違うのは、口の構造の違いで、選り分けられる泥の粒の大きさが異なるからなんです。

朝、食事の終わったカニが、日光浴をしながら両手と足を上げて、不思議なポーズを取っていました。足の掃除?なんだかまるでヨガみたい。バンザイガニの朝の日課なのかどうか、また干潟を見に行こうかな。

https://news.yahoo.co.jp/articles/71640248c4e876867113e29d0175d6d1c995df77