「ネット上であっても、ひどい悪口を言えば責任が問われるという意識が広がってほしい」。タレントでアパレル
会社社長を務める川崎希さん(35)は、改正法の施行を前にこう願う。

 川崎さんは2009年、アイドルグループ「AKB48」を卒業した後、会社を設立。結婚し、子どもにも恵まれ、
ブログやSNSで日々の生活を発信していた。だが、注目の高まりとともに、ネットの掲示板で悪質な投稿を目にするようになった。

 <川崎希が万引きをしていた><カフェの食器を持ち帰っていた>。身に覚えのない虚偽の情報を書き込まれた。

(写真:読売新聞)

 自宅の住所もさらされ、海外旅行に行ったことを明かすと<家に放火するチャンス>と投稿された。妊娠中には、
SNSに<流産しろ>というメッセージも送りつけられた。

 身の危険を感じ、18年頃、発信者の特定に向けて動き出した。無数にあった投稿から特に悪質な書き込みを選び、
掲示板の運営者に発信記録の開示を求めた。その情報をもとに、プロバイダー(ネット接続業者)にさらに詳しい発信者の情報を請求した。

 約6か月後、プロバイダーから発信者の氏名や住所が開示された。こうした情報をもとに警察に相談し、女2人が侮辱容疑で書類送検された。

 一連の経緯をブログで公表したところ、中傷はやみ、「やっと気持ちが落ち着いた」と話す。ただ、情報が開示されるまでには
様々な手続きがあり、時間もかかったことから、「ちゃんと開示されるかいつも不安が頭の片隅にあり、気がめいった」と振り返る。

 改正法の施行には、「手続きが早まれば請求に踏み出せる人が増え、ネット上の中傷が減ることにもつながるはず」と期待している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9a2975d5d4b144682b47d6749b062253e3ab93a0