東京都が目指す全国初の「新築住宅への太陽光パネル設置義務化」を巡り、都は今週にも、年度内の条例改正に向けた基本方針を策定する。
地球温暖化対策に二酸化炭素を排出しない太陽光発電は有効だが、パネル設置は住宅の施工費上昇に直結する。
基本方針は、義務化の対象となる住宅メーカーへの配慮がにじむ内容になりそうだ。(増田知基)

住宅施工費に上乗せ
 
「新制度の普及には建築主への支援策が不可欠だ」。8月24日、都側が設けた意見表明の場で、住宅メーカーの業界団体の
代表者は都の方針におおむね賛同しつつも、注文も忘れなかった。

背景には、米国の住宅需要の回復に伴う木材価格の世界的な高騰で、都内の戸建て住宅の価格が上昇していることがある。
不動産調査会社「東京カンテイ」によると、6月の建売住宅の平均価格は5207万円と前年同月から648万円も増えた。

パネルの設置費用は、1棟あたり100万円前後。都内の中堅住宅メーカーの幹部は「施工費がさらにかさめば、経営を確実に圧迫する。
日当たりのいい場所を確保できるとは限らず、設置を望まない顧客に家を売れなくなる」と不安を募らせる。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220904-OYT1T50139/