文部科学省は、教員の働き方改革を進めるため、公立小中学校で教員をサポートする人材の増員を目指す。電話対応など事務作業を担う「教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)」の人件費を、2023年度予算概算要求で倍増も視野に大幅増額を求める方針だ。分業を進め、教員が授業や教材研究に注力できるようにする。

業務支援員は、プリントの準備や採点、電話対応、新型コロナウイルス対策の消毒作業などを行う。教員免許は不要で、国が人件費の3分の1を支払い、残りを都道府県や政令市が負担する。

22年度当初予算では1万650人分に当たる45億円を計上。文科省によると公立小中学校は全国に約2万7000校あり、15学級以上ある学校で1校につき1人配置できる計算だ。仮に同年度予算を倍増した場合、複数学年を同じ学級で教えるような過疎地の小規模校を除き、全校に1人配置できるようになるという。

また同省は、チームティーチング(TT)や習熟度別学習などの授業で教員を手伝う「学習指導員」の人件費も増額要求する方向で検討している。同省幹部は「支援員、指導員ともに現場の評判が良く、増やしてほしいという声が強い」と説明。具体的な増額幅は月内に詰める。

16年度の同省調査では、中学校教員は勤務時間外に1カ月当たり平均約81時間拘束されている。長時間労働が常態化し、「本来業務でない仕事に忙殺される」といった訴えが現場から出ている。永岡桂子文科相も15日の記者会見で「教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備する」と述べた。

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