教団の収益の7割は日本──日米の危機を生んだ「秘密工作活動」と統一教会

<KCIAとアメリカが後ろ盾となった、旧統一教会。そこから派生した「サンクチュアリ教会」はトランプと銃所持を熱烈に支持するなど、今やコントロール不能で、アメリカ社会にも刃向かうという皮肉>

安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者のゆがんだ心理を読み解こうとすると、アメリカと日本の民主主義および個人の自由に深刻な脅威を及ぼすアメリカ社会の暗部に行き着く。

山上は、母親が旧統一教会(現在は「世界平和統一家庭連合」に改称)に寄付を続けたために一家が経済的に破綻したことを恨んでいて、
安倍が同教団を支援してきたと考えて犯行に及んだとしている。

実は、山上が語った犯行動機と、昨年1月6日に米連邦議会議事堂襲撃事件を起こしたトランプ支持派が抱く社会への不満、アメリカのリバタリアニズム(自由意思論)と狂信的な銃文化、
アメリカに拠点を置く旧統一教会の分派「世界平和統一聖殿」(サンクチュアリ教会)の間には、ある意味で奇怪な結び付きがある。

CIAの分析によると、文鮮明(ムン・ソンミョン)を開祖とする旧統一教会は、朴正煕(パク・チョンヒ)政権で韓国の情報機関KCIAのトップを務めた金鍾泌(キム・ジョンピル)が政権の「政治的道具」として組織したとされている。
当初は主に韓国内で、反共主義と朴政権支持の活動を展開していた。

しかし程なく、活動の舞台は日本に拡大した。日本は韓国にとって戦略上極めて重要な国だった。旧統一教会は日本社会への浸透に目覚ましい成功を収めた。何十年にもわたり、教団の収益の7割を日本での収益が占めていたほどだ。

https://www.newsweekjapan.jp/mobile/glenn/2022/07/7_1.php

続く