国産初となる軽症者向けの新型コロナウイルスの飲み薬、塩野義製薬の「ゾコーバ」について、厚生労働省の専門部会は「継続審議」とし、承認の判断を見送った。

パンデミック時に早期に治療薬やワクチンを承認するため今年創設された「緊急承認制度」を使って行われた初めての審査で、事実上、“緊急承認の見送り”としたのはなぜか。厳しい意見が相次いだ審査の舞台裏を詳報する。

         ◇◇◇

■「とても使えない」厳しい意見が相次いだ2時間の審議

「これまでの議論では、提出されているデータから有効性が推定されるということの判断はできないとの意見が多くを占められ、本件については継続審議としたい」。2時間にわたる審査に加わった2つの専門家会議の委員たちは「賛成」の声をあげ、全会一致で承認の判断を見送り「継続審議」とすると結論づけた。

会議の冒頭、医薬品を審査するPMDA(医薬品医療機器総合機構)の報告書によって、厳しい審査結果が示された。ウイルスが減少する効果は確認できているものの、新型コロナウイルスの12症状の改善状況については、基準を満たしていない。

治験薬を投与した集団と投与していない集団で比較したデータでは、発熱、けん怠感、せきなど、ほとんどの症状で、回復の傾向がほぼ同じ推移を示していた。PMDAの委員は「ほぼ結果に効果がないと見える」と説明した。

さらに、塩野義製薬が追加データとして提出したオミクロン株に特徴的な呼吸器症状などでは改善が見られたとするデータについても、「何度も解析すると優位になることが出るのはよくあること」として、有利なデータが出るまで何度も解析を行った塩野義製薬のやり方を批判した。

https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/f5a8d7fc04a36349cf203338a1425c39b03e95aa&preview=auto