児童虐待テーマの映画「地蔵調査官」 監督「愛される体験させたい」

 児童虐待をテーマにした映画「地蔵調査官」が「さぬき映画祭2022」(2月5、6日開催)で上映される。2019年度の同映画祭シナリオコンクールで大賞を受賞した香川県東かがわ市在住の帝國製薬社員、中村心太(ところてん)さん(31)=ペンネーム=の作品で、中村さんが監督も務めた。映画に込めた思いを聞くと、「親の愛をひたすらに求めながら、それを知らずに死んでいく子どもたちへの鎮魂の願い」と語った。

 映画では、両親に虐待を受けて親戚の寺に身を寄せている少女が、地蔵と会話できる自称・地蔵調査官と出会う。「他のお地蔵様から最も尊敬されている地蔵」を一緒に探すことになり、物語は現実の枠を超えた世界に入っていく。

 中村さんは「虐待の事件が何度も報道されます。楽しかった家庭の思い出を持つ子どもなら、もし今が不幸でも幸せというものをイメージできます」と口を開き、次のようなことを話した。

 でも、それを体験したことがなければ暗闇のままだ。親の愛を知らないことほどつらいものはない。親によっては、愛を望む子どもに暴力を与え、命を落とす子どももいる。せめて、愛される体験をさせてあげたい――。

 そんな思いに突き動かされて書き上げたのだという。物語後半には、血の涙を流しながら地蔵が声を振り絞る場面がある。そこに中村さんの願いが凝縮されているように思えた。

 中村さんは17年ごろに映画のシナリオを書いてみたくなり、各コンクールに応募。今回が初の賞獲得だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a1a19cf87ea683dab34a920f9aff11dbf2761c97