(社説)建設統計不正 実施体制 一から見直せ
2022年1月16日 5時00分

 公的な統計への信頼を根底から揺るがす事態である。問題を起こした国土交通省が再発防止を徹底するのはもちろん、政府全体で統計行政のあり方を抜本的に見直さねばならない。

 政府の基幹統計が国交省によって書き換えられていた問題を調べていた第三者による検証委員会が、報告書をまとめた。「作為的とは確認できない」としながらも、責任を追及されるのを恐れて国交省は問題を矮小(わいしょう)化し、外部への正確な説明を避けたと認定した。

 問題になった建設工事受注動態統計では、調査対象の建設業者が期限後に数カ月分の受注実績をまとめて提出した場合、それを直近1カ月分に合算して書き換えるよう、調査票の回収を担う都道府県に国交省が指示。推計方法を変更した2013年度からは一部で二重計上が生じ、数値が過大になっていた。

 検証委は書き換えが始まった経緯を究明できなかったが、遅れて提出されたデータを無駄にすまいとの思いがあったと推測。不適切なやり方を漫然と続けていたとみている。

 国交省は、幾度も訪れた修正の機会を生かそうとせず、対外的にも伏せたままだった。

https://www.asahi.com/articles/DA3S15173477.html?iref=pc_rensai_long_16_article